「三二先生、歌舞伎は興味ありますか?」と、突然Lineが来ました。都留文大の卒業生tomokoさんからです。1月2日の夜、そのとき、前日の能登地方の地震災害の状況、そして、その日起ったばかりの羽田空港での飛行機事故の報道などをテレビを見ながら確かめている時間でした。

 

これまでもtomokoさんからは教材などについて時折連絡が来ます。昨年、教室まで行き、管理職の許可を得て、授業参観をさせてもらったこともありました。時間をもらって、教室でことばあそびをしました。タカキさんも同行。

 

さて、Lineの意味はどういうこと?そう思って、返信します。

「ぼくが舞台に出るの?」

もちろん違います。

「明日の浅草歌舞伎、妹と母親が行く予定だったのですが、羽田空港の火災で帰って来られず、チケットが余っています。もし興味があれば。(笑)」

 

そういうことか。なんでぼくに?

あとで聞いたら、知り合いには歌舞伎に興味ありそうな人はいず、おまけに今日(夜連絡)の明日(午前の歌舞伎)のことですから、よほどヒマな人物じゃないとねぇ……それでぼくだったというわけです。

 

   キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

 

朝、9時50分、池袋で待ち合わせ。

山手線から上野、そこから地下鉄に乗り換えて浅草まで行きました。

 

「新春浅草歌舞伎2024」です。

 

 
 
 
舞台には出れないので、ひょっこりはんみたいに顔を出してみました。
(tomoko さん、恥ずかしかった、と。みんながこの前で写真を撮っていたのに、そこでこんなことしているのですから。かぶきもの、このくらいは大したことではありませんよ)
 

会場は浅草公会堂。浅草の町にはすごい数の人たちでごった返していました。

 

 
「新春浅草歌舞伎 第1部」はこんな演目でした。
 
①時代物の傑作『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)十種香』で幕を開ける。武田信玄の息子の勝頼が切腹したと聞いてもなお、勝頼の姿絵を前に一途に祈る情熱的な八重垣姫の恋を描く。
 
②『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店』では、深い因縁で結ばれたお富と与三郎が運命的に再会する物語が粋にドラマチックに繰り広げられる。
 
③田舎者のどんつくと江戸っ子たちを比べながら、華やかに江戸の風俗を楽しむ舞踊『神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)どんつく』で、出演者が勢ぞろいする。
 
解説のイヤホンガイドを借りたので、よくわかりました。
これが無ければ、①『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)十種香』はちんぷんかんぷんだったと思います。
八重垣姫が単なる姿絵に恋焦がれるなんて、「なにそれ!?」ってなったことでしょう。赤い振袖の深窓の御姫様のふるまいは、ちょっと引いてしまいましたからね。
 
その点で、②『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)源氏店(げんやだな)』はぼくにはガイドはほとんど要りませんでした。
春日八郎の「お富さん」そのものだったからです。えっ?知らない?
春日八郎 に対する画像結果
♪粋な黒塀、見越しの松に、仇な姿の洗い髪
死んだはずだよ、お富さん
生きていたとは お釈迦様でも
知らぬ仏の お富さん
エッサオー 源氏店
 
と書いたけれど、子どもの時に聴いていたこの曲、当時は意味不明でした。tomokoさんには???だっただろうなあ。
「ごしんぞさんへ おかみさんへ いやさ、お富、ひさしぶりだなあ」という啖呵もね。
これは、大衆演劇の世界にも触れてもらったらいいかも。十条の篠原劇場なんか、もっとわかりやすいよ。

    キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

幕間(まくあい)には、通路に並べられたものを見て回ります。
不思議なおかきを買いました。古奈屋のカレー味。それにいぶりがっこおかき。
tomokoさんと、この後立石で合流する天木糸子サンにあげました。どんな味だったんだろうね。
 
歌舞伎が終わって、都営浅草線にのって立石まで。下町の酒都(しゅと)呼ばれていた京成立石まで。天木さんが待っているはず。
立石駅で降りたら、南口、北口と歩いてみました。とくに北口周辺は様変わりでした。
 
 
「呑んべ横丁」はもう跡形もなく、さらに下町の名店も消えてしまっています。
哀しい。
「江戸っ子」も、「とっちゃん坊や」も、「鳥房」も…。いくつかの店は廃業せずに移転したという情報はあるけれど、あの町並みはもう戻りません。
立石愛のメンバーの天木さんもがっかりしていました。
 
仕方なし、立石駅の南口に回って、3人で新年会をしました。
その後、乗り過ごさず、ちゃんとして戻ってきました。
立石の名店の移転先など確かめに、もう一度、立石に行ってこようと思っています。