代官山の蔦屋書店はかなり”おしゃれな”書店だということは聞いていたけれど、ぼくには縁のない場所、街と書店だと思っていました。

けれど、そこで、賢治に関わる「新しい文化を導く北極星―宮沢賢治没後90周年記念フェア―」が行われていると知り、不似合いな街に行ってみようかと思いました。蝶ネクタイでもしてみようかしらん。持ってはいないけれど…。

 

代官山はおしゃれな場所ですが、江戸のころ、明治になっても武蔵野の緑の林だったはず。

蔦屋書店がありました。3つの建物が複雑に組み合わさっていて、目的のコーナーが探せません。うろうろ、しばらくはむきになって探したけれど、やはりだめでした。

書店員さんに聞き、コーナーまで連れて行ってもらいました。「老いては子に従え」みたいなことか。頑固なことはよくないなあ。

 

 

思ったより、小さなコーナーでした。

 

今にも生きる賢治の新しい取り上げ方。コンシェルジュ=案内人だそう。ホテルの宿泊者に対応する「総合世話係」ということが仏語の意味。岡田さんという方がセレクトした賢治の世界が展示されていました。

 

切り口が、賢治の多様性だろうから、おもしろい本が並びます。

すでに手元にある畑山博『教師 宮沢賢治に仕事』や宮沢賢治著 , 杉田淳子編集 , 栗原敦監修『宮沢賢治のオノマトペ集』があります。

 

賢治の作品の抜き刷りを2冊。

「イギリス海岸」<賢治が名付けたイギリス海岸。野外授業の様子がいきいきと描かれる>と「竜と詩人」<賢治の創作の基本姿勢が垣間見える名編>というコメントがあります。これがコンシェルジュなんだな。

 

おっ、ウィリアム・モリスの著作がありました。賢治が、羅須地人協会での活動の参考にしたという労働と芸術に関わる本。「農民芸術概論綱要」の原典とも言ってよいのか。社会主義者を名のったモリスの本はどうしても読みたかったんです。早速購入。

社会学者の見田宗介さんの本も気にかかってっていました。これも購入。

 

段々気が大きくなってきました。といっても全部買うなんてことにはなりません。

 

これだ!と選んだのは『賢治と鉱物―文系のための鉱物学入門』加藤碩一・青木正博著

「石っこ賢さん」とよばれた鉱物好きの賢治の世界にもう少し触れたいとい思うからです。

本をパラパラとめくっているだけで、賢治の「青」が目に飛び込んで来て、幸せになります。