茨木のり子さんの詩が好きです。颯爽としていた生き方も。
その茨木さんの恋の唄。
白梅短大の読み語りの授業で紹介しました。こういう詩にも触れてほしいなと思って。
ただ、ぼくのようなオジサンが読む(音読する)にはふさわしくないということで、すこしお姉さんの学生に頼んで読んでもらいました。素敵な読みです。有難う。
あほらしい唄
茨木のり子
この川べりであなたと
ビールを飲んだ だからここは好きな店
七月のきれいな晩だった
あなたの坐った椅子はあれ でも三人だった
小さな提灯がいくつもともり けむっていて
あなたは楽しい冗談をばらまいた
二人の時にはお説教ばかり
荒々しいことはなんにもしないで
でもわかるの わたしには
あなたの深いまなざしが
早くわたしの心に橋を架けて
別の誰かに架けられないうちに
わたし ためらわずに渡る
あなたのところへ
そうしたらもう後へ戻れない
跳ね橋のようにして
ゴッホの絵にあった
アルル地方の素朴で明るい跳ね橋!
娘は誘惑されなくちゃいけないの
それもあなたのようなひとから
茨木のり子さんの詩集「おんなのことば」(童話屋)より。
恋心を唄っても、茨木さんらしい。タイトルが「あほらしい唄」と。
照れくささと、一途さと、想いが相まっての「あほらしい」というのでしょうか。
唄われていることは、可愛らしさに満ちています。
ゴッホの「アルルの跳ね橋」です。この跳ね橋を渡る娘!
授業の本筋は子どもの本の「読み語り」ですが、保育者である前に一人の若者、人間です。
自分の世界を豊かにしてほしいと思い紹介します。
(№1841の記事)