光村図書の1年生国語教科書(下)の物語文「たぬきの糸車」を読むシリーズを始めます。まずは本文から。
たぬきの糸車
きし なみ作 (むらかみ ゆたか絵)むかし、ある山おくに、きこりのふうふがすんでいました。山おくの一けんやなので、まいばんのようにたぬきがやってきて、いたずらをしました。そこで、きこりはわなをしかけました。
ある月のきれいなばんのこと、おかみさんは、糸車をまわして、糸をつむいでいました。
キーカラカラ キーカラカラ
キークルクル キークルクル
ふと気がつくと、やぶれしょうじのあなから、二つのくりくりした目玉が、こちらをのぞいていました。糸車がキークルクルと回るにつれて、二つの目玉も、くるりくるりと回りました。そして、月の明るいしょうじに、糸車を回すまねをするたぬきのかげがうつりました。
おかみさんは思わずふき出しそうになりましたが、だまって糸車を回していました。
それからというもの、たぬきは、まいばんまいばんやってきて、糸車を回すまねをくりかえしました。
「いたずらもんだが、かわいいな。」あるばん、こやのうらで、キャーッというさけびごえがしました。おかみさんがこわごわいってみると、いつものたぬきがわなにかかっていました。
「かわいそうに。わなになんかかかるんじゃないよ。たぬきじるにされてしまうで。」
おかみさんは、そういって、たぬきをにがしてやりました。
やがて、山の木のはがおちて、ふゆがやってきました。ゆきがふりはじめると、きこりのふうふは、村へ下りていきました。
春になって、また、きこりのふうふは、山おくのこやにもどってきました。
とをあけたとき、おかみさんはあっとおどろきました。 いたのまに、白い糸のたばが、山のようにつんであったのです。その上、ほこりだらけのはずの糸車には、まきかけた糸までかかっています。「はあて、ふしぎな。どうした こっちゃ。」
おかみさんは、そう思いながら、土までごはんをたきはじめました。すると、キーカラカラ キーカラカラ
キークルクル キークルクルと、糸車の回る音が、聞こえてきました。びっくりしてふりむくと、いたどのかげからちゃいろのしっぽがちらりと見えました。
そっとのぞくと、いつかのたぬきが、じょうずな手つきで、糸をつむいでいるのでした。たぬきはつむぎおわると、こんどは、いつもおかみさんがしていたとおりに、たばねてわきにつみかさねました。
たぬきは、ふいに、おかみさんがのぞいているのに気がつきました。たぬきはぴょこんと外にとび下りました。そしてうれしくてたまらないというように、ぴょんぴょこおどりながら帰っていきましたとさ。
まず1回目はぼくが音読します。ゆっくりと。ぼくがこのお話を十分に楽しんでいることが伝わるようにと思いながら読みます。
途中、音読の苦手な子の脇に行き、そこで座り、読んでいるところを指さしながら読みます。
子どもたちはしっとりした雰囲気の中で教科書に目を落としています。集中した教室空間が現出します。
音読のなかでイメージする気持ち良さ、集中する中で聴く心地よさが広がったように思います。3学期になれば、教室には聴き合う関係ができています。
最初の読みを心地よく聴く体験が、これからの長い時間の授業を支える根底にあるからこそ学びが豊かになるのです。
2回目は、ぼくの音読を追いかける連れ読み。3回目はそれぞれのペースでひとり読みです。
シリーズをはじめます。
【2回目からは実際に授業です。その2回目⇒
https://ameblo.jp/sanni1132/entry-11977836306.html?frm=theme】
このシリーズを、データとしてまとめています。
希望の方に、パソコンよりデータ送信しています。希望の方は以下のアドレスに連絡ください。
お名前や、所属など一言書き添えてくださいね。 霜村三二(しもむら・さんに)
メールアドレス shimomura-sanni@jcom.home.ne.jp まで
新学期が始まった皆さんは、コロナ・オミクロン株の急な感染拡大のなかで、また大変な思いをしながら、子どもたちと向き合っておられるでしょう。
現場応援のために、「たぬきの糸車」の学び合いの案内などをしています。
希望者に「たぬきの糸車」をタンテイする実践のデータを送り、そのデータをもとに、パワーポイント資料によって詳しく解説することもあります。
霜村三二とつながっているかたは、LINEやメッセンジャーでも構いませんが、実践データを送るので、あなたのパソコンアドレスを記入してくださいね。パソコンのアドレスからのほうがいいかな。
パソコンアドレスは shmomura-sanni@jcom.home.ne.jp です。
周りの方から紹介されたという連絡などが来ています。>
これは、あくまで現場応援です。
(2024年1月24日から、ブログで「たぬきの糸車」を再度アップしています。パワーポイントを入れて、いくつかのポイントを付け加えながらのことです。そちらもどうぞ。)
(№1185の記事)