「うんこ」と黒板に書いたとたん、教室中が爆発したような大騒ぎになりました。

「うんこ」とか「おなら」とか「おしっこ」とかいうことば、子どもたちは大好きです。大人が眉をひそめればひそめるほど、大声で叫びます。


常識的な大人は人前でこれらのことばを使わないようにするものですが、谷川さん、まどさん、阪田さんたちは平気で使って詩を書いています。エライ!!


「下品」極まりない「うんこ」も谷川さんの手にかかると、さわやかで(?)、大らかな詩となります。


     うんこ

       谷川俊太郎

ごきぶりの うんこは ちいさい

ぞうの うんこは おおきい


うんこというものは

いろいろな かたちをしている


いしのような うんこ

わらのような うんこ


うんこというものは 

いろいろな いろをしている


うんこというものは

くさや きを そだてる


うんこというものを

たべるむしも いる


どんなうつくしいひとの

うんこも くさい


どんなえらいひとも

うんこを する


うんこよ きょうも

げんきに でてこい



子どもたちと読みあうとき、いくつかの言葉を伏せて板書します。


(     )の うんこは ちいさい

(     )の うんこは おおきい


こう書いたとたん子どもたちはいっせいに手をあげます。こちらから尋ねなくても意欲的です。

ウエサトくんが言います。

「大きいったらぞうだよ」


これをきっかけに「ちいさいのはうさぎ」「ハムスター」などと続きます。このやりとりの中で「ごきぶり」も出てきます。


うんこというものは

(     )や (     )を そだてる


ナガサキくんが「作物だ、そだてるのは」と。サキちゃんが「木や草」とずばっと答えてくれました。すごい、子どもたちは。


こうおおらかに「うんこ」を讃えていると、元気よく読んでみたくなります。


クラスで大声で読んだ後、「今はこれでいいけど、家のお母さんの前では読まない!下品だって叱られても知らないよ」というぼくに、モエコちゃんが言います。

「そういうから、みんな読んじゃうんだよ…」

よくわかっていらっしゃる。


(№789の記事)