三木句会ゆかりの仲間たちの会:原宿美都子さんのエッセイ
個人情報
ちょっと前まで誰も気にしなかった個人情報、いつの間にか我が小さなマンション
の住民リストも配られなくなり、心もとない。
毎年8月最終土曜日に行うマンション恒例バーベキューパーティもコロナでしばらく
中止となり、知らないお顔とすれ違うこともある昨今、住民同士が知り合う貴重な機会
だったと再認識。今年は再開されることになったものの、最終土曜日が31日で子供たち
は宿題でそれどころではないかな、と24日に変更。そのせいか例年の半分以下、10人
ちょっとの寂しい参加者。心配したけれど、少ないなりに全員で話すことができて楽し
かった!
話していると個人情報も次第に開示されて、思わぬところで共通の知り合いがわかっ
たりして、世間は意外と狭い、というお約束。昔、娘の学校でも「連絡網」という超個人
情報リストが配られ、何かと利用していたけれど、今時はどうしているんだろう。生徒も
全員PCを使い、父母もLINEなど活用して、漏れる時は盛大に漏れたりしないのかしら?
定期健診に行っている病院では、玄関ロビーのチェックイン機に診察券を入れ、その
日の個人番号を頂戴し、血液検査のブース上に番号が表示されたら着席し、看護師さん
には生年月日、氏名をあかして採血してもらう。
診察室の担当医師名を確認し、近くの椅子で待っていて、ドア脇の掲示板にピンポ~
ンの音とともに自分の番号がピカピカしたら、いよいよお医者様に会えるという寸法であ
る。というわけで、「車寅次郎さ~ん」などと呼ばれている人を見る楽しみはなくなった。
もちろん、会計も自分の番号がでたら、自動会計機とひっそり対話。薬の窓口掲示板が
ピカピカしたら、薬剤師さんに番号と氏名を教え、薬剤師さんは医師名を照合して晴れて
お薬をいただき、本日の個人番号から解放されて、帰ってよろし、という次第である。
名前を呼びまくられる、ということはなくなったけれど、よかったような、味気ない
ような。その割に知らないところでは個人情報が大胆に漏れたりしているようで、迷惑
メールが大量にきて迷惑しているのも、メールアドレスがどこかに漏れているんですよね?
便利なんだけれど、計り知れないことが多すぎる、身の丈にあってない世の中である。
稲光り空裂き爆音地中から 原宿美都子
photo: m. fushimi
父と子の水着あゆめり逗子銀座 草間時彦