三木句会ゆかりの仲間たちの会:有冨光英俳句 評者:加藤光樹
現代俳句協会の「現代俳句コラム」に次のような記事を見つけました。師の句を弟子
が評しています。有冨氏は俳句結社「白」の創始者であり、そのあとを継いだのが加藤
光樹氏です。
https://ameblo.jp/sanmokukukai2020/page-6.htmlで太田酔子さんが光英俳句を
鑑賞していらっしゃいますが、合わせて光樹先生の読み、そして作者の自解と比べ読ん
でみるのも興味深いのではないでしょうか。
俳句は発表した時から一人歩きをして、作者の意とは全く違う読みをされることも
珍しくありません。それくらい、俳句は自由に解釈していいとも言えます。
8月から「有冨光英自句自解シリーズ」をご紹介してゆきます。
お楽しみに!!
羅やなまけごころを大事にす 有冨光英
恩師有冨光英の晩年(平成十一年)の作品。最後の句集となった「華景」の最終頁
の一句である。「俳句は抒情詩」を標榜し、結社「白」を創立して「象徴性ある俳句」
を追求し続けた師は、自句自解の文で「なまけごころ」を文字通りの「怠け」と読んだ
人は批判的であり、一心象の「ゆとり」と解した人と二分したと述べ、両者を共に受け
入れながら、「自分はなまけごころも平常心の中に秘めて置きたい」と本音を洩らして
いる。
お付き合いは約三十年に及んだが、私が直接指導を受けた晩年の数年はもどかしい
弟子と思われていたに違いない。その間に肝に銘じたのは「自分の心の動きを詠め」と
いう簡単で至難な教えだった。「平常心の中に秘めて置きたいなまけごころ」という文
に接した時、「大事に」とはまさにこのことだと、今は亡き師の言葉を思いおこした次第。
評者: 加藤光樹
平成19年10月24日
photo: y. asuka
犬は海を少年はマンゴーの森を見る 金子兜太