三木句会ゆかりの仲間たちの会:有坂花野さんの15句
有坂花野さんは、対島康子氏主宰の俳句結社『麦』の同人でいらっしゃいます。『麦』
は、創設者・中島斌雄の主張を受け継ぐ現代俳句結社で、結社誌『麦』は850号を重ねる
充実した俳誌を発行しています。
また、句集『青き小さき魚』(あおきちさきうお)を発表され、多摩市で「雨音べるぶ」
と「雨音Ⅱ」という句会を主宰していらっしゃいます。
花野さんとは、故有馬英子さんの第二句集『火を抱いて』に感想文ををお寄せくださっ
た御縁でお付き合いが始まり、これまでにも助言などいただいてきました。
『麦』7月号に掲載された花野さんの特別作品15句をご紹介します。
みないとし
カザルスの鳥は誌上に二月号
生き延びる星をさがして朧の夜
春泥や純な魂盗まれる
諸葛菜割れる準備のある地球
菜の花や笑うグラフィックなのかしら
蹴りあげし鞦韆古事記までは飛べる
春眠の母を少年迷子石
記憶の海春愁深し無彩色
清明の遮二無二はしる青の危機
馥郁たるモッコウバラの鬼籍的
なんじゃもんじゃ易しいことを難しく
お転婆な木苺の花こそ鬼謀
蛇いちご増殖やまぬ忌ウイ ルス
蜃気楼山里びとの徳いとし
沖遠くみしらぬ船を追い泳ぐ
photo: y. asuka
春眠の涙あつめて雲流る 有坂花野