三木句会ゆかりの仲間たちの会:有坂花野さんの15句 | sanmokukukai2020のブログ

sanmokukukai2020のブログ

ブログの説明を入力します。

   三木句会ゆかりの仲間たちの会:有坂花野さんの15句

 

 

     有坂花野さんは、対島康子氏主宰の俳句結社『麦』の同人でいらっしゃいます。『麦』

   は、創設者・中島斌雄の主張を受け継ぐ現代俳句結社で、結社誌『麦』は850号を重ねる

   充実した俳誌を発行しています。

    また、句集『青き小さき魚』(あおきちさきうお)を発表され、多摩市で「雨音べるぶ」

   と「雨音Ⅱ」という句会を主宰していらっしゃいます。 

    花野さんとは、故有馬英子さんの第二句集『火を抱いて』に感想文ををお寄せくださっ

   た御縁でお付き合いが始まり、これまでにも助言などいただいてきました。

    『麦』7月号に掲載された花野さんの特別作品15句をご紹介します。

 

 

      みないとし

 

      カザルスの鳥は誌上に二月号

  

      生き延びる星をさがして朧の夜

 

      春泥や純な魂盗まれる

 

      諸葛菜割れる準備のある地球

 

      菜の花や笑うグラフィックなのかしら

 

      蹴りあげし鞦韆古事記までは飛べる

 

      春眠の母を少年迷子石

 

      記憶の海春愁深し無彩色

 

      清明の遮二無二はしる青の危機

 

      馥郁たるモッコウバラの鬼籍的

 

      なんじゃもんじゃ易しいことを難しく

 

      お転婆な木苺の花こそ鬼謀

 

      蛇いちご増殖やまぬ忌ウイ ルス

 

      蜃気楼山里びとの徳いとし

 

      沖遠くみしらぬ船を追い泳ぐ

 

 

 

               

                                photo: y. asuka

                                                      春眠の涙あつめて雲流る   有坂花野