わたしの選んだ特選句 | sanmokukukai2020のブログ

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   わたしの選んだ特選句

 

   振り出しに戻り泣く子や絵双六   関本朗子

                             選んだ人:原宿美都子

 

   知り合いの子が「四五六」と言っているのに妙に納得したものの、3歳になったばかりで

   はルールの理解は覚束ず、振り出しに戻れと言われ納得できず、泣いて不満表明するのも

   無理はなく、ちょうどあるあるで笑えました。  

 

 

   妖精の夜明けの吐息木華かな    佐藤花子       

                             選んだ人  :  藤井 素

 

   兼題の「精」を使われた妖精の句ですが、一瞬のうちに妖精の世界にぐいっと引き込まれ

   ました。「夜明けの吐息」とはまた何て素敵な表現……。より美しい木華が見え、ひんやり

   とした空気感、もののけが声を潜めている森の中にワープさせて戴きました。     

 

 

   春節や玻璃に幾すじ絹の雨    田中 梓     

                             選んだ人:山崎哲男 

 

    春節になれば中国人が各地に向かって大移動を始める。上海や北京から各地方に分かれ

   て移動する様と対比したものかどうかは判らないが、人の大移動は絹の雨というよりは、

   豪雨のようにも感じる。むしろ、中国人の大移動と対比して、その正反対にある絹の糸の

   ようなしとしとと降り注ぐ優しい雨が水晶にかかって幾筋か流れる様が、閑かな優しい春

   を感じさせる小景を強調されたのだろうか。

    春雨には包まれていなければならないと言った人がいた。水晶は赤い色よりも、透明な

   方が情景に合致するのではないか 。

 

 

                                 photo: y. asuka

                                                    蛋白質アミノ酸水素結合、よくやった      和田悟朗