三徳の俳句森羅万象  | sanmokukukai2020のブログ

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   三徳の俳句森羅万象

 

   海の日や千尋に叫ぶ倅の名     加倉井充子

 

    海の日に因んだ句には明るくて活動的なのだけでなく、わが子を海で亡くした親、

   母親の悲痛な感情を爆発させたものもあります。戦争で、海戦で多くの若者の命が

   あっけなく失われた過去。漁業の遭難や大津波の災難など海の深いところに消えて

   しまった命。千尋の深い海の底に向かって倅の名前を叫んでいるのです。あの「岸

   壁の母」を彷彿とさせるものがあります。

   下五の「倅の名」に母親の並々ならぬ思いが込められているのではないでしょうか。

 

 

 

 

                                        photo: y.asuka

乳母車夏の怒濤によこむきに 橋本多佳子