2020年 5月句会報 つづき | sanmokukukai2020のブログ

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   「ひらひらり風の間に間に黒揚羽」は花子さんの6点句。見た通りを素直に置いて

   みました、ですが、リズムがいいですね。句ができたら百回声に出して読め、とい

   う言い方もあります。自ずと、改良点が見出せる、ということでしょうか。蝶は春、

   黒揚羽は夏の季語です。梢さんの6点句は「風五月ゆびさき緑豆の鞘」空豆のこと

   でしょうか。「緑」は夏の季語としても使われるので、単に色を言いたかったなら、

   ひらかな表記もありでしょうか。「風五月ゆびさきみどり豆の鞘」。特選2つの朗

   子さんの6点句は「触れられず逝くひと悼む白木蓮」。衝撃的な海外の埋葬シーン

   なども眼裏にあり、疫病死の恐ろしさに、優しい白木蓮がせめてもの癒しのような

   句。5点句の「間の悪い防災無線昼寝覚め」もありました。防災無線という俳句に

   馴染みにくい措辞の良し悪しはあるでしょうが、同感と感じた賛同者多々。晢男さ

   んの5点句「若葉萌え医師看護師の命懸け」も、医療崩壊を背景の作句です。「汁

   あふる新玉葱の白さかな」は、素直が溢れる凛さんの5点句。季節感があふれてい

   ますね。一方、秀隆さんは雅な「鎌倉に巫女の朱袴風薫る」の5点句。情景が目に

   浮かびます。最後の5点句は遊子の「青芒ひとすじ生と死の間合い」。今回の兼題

   「間」を読み込んで、この春あっけなく亡くなられた方々を思うと、生のあやうさ

   を思わずにいられません。

   さて、皆さま、今回初めての兼題を読み込むという試み、楽しまれたでしょうか。

 

 

   ここからは、瞬泡さんの添削コーナーです。

 

   「即席の筍ごはんに笑み合うて」 田中 汐

   この句、季節感が出ていて、とてもいいのですが、言い回しがもう一歩です。ここ

   は、中七に間を持たせ、「即席の筍ごはん笑み溢れ」とすれば、字余りも解消して、

   すっきりとした句になります。

   

   「たんぽぽのスゲ子ら遊ぶ慰霊塔」 大塚楓子

   一句の中であれもこれも言おうとすると、句の姿が窮屈になります。そこで、立派

   な慰霊塔にたんぽぽの絮があたかも遊んでいるかのように、「たんぽぽの絮が遊ぶ

   や慰霊塔」としたらいかがでしょうか。             

 

                                  (遊子・報)

 

 

 

                 photo: y.asuka