國分三徳さんによる、俳句にまつわるショートエッセイがシリーズで始まります。
長い俳句生活の中で出会った句から、三徳さんの目線で一句あるいは数句を取り上
げ、書いてくださいます。私たちは、俳句への向き合い方とか、作句のアプローチ
とか、三徳流俳句の楽しみ方などを知ることができそうです。楽しみですね。
〜人生は木の実独楽〜 國分三徳
三木句会のみなさま、俳句上達の方法はやはりこつこつと勉強することだと思い
ます。勉強というのは、他の俳句仲間の句をできるだけたくさん読む、見るという
ことです。私の所属する現代俳句協会会員約五千名の人達から毎月発表される俳句
を、どんどん読むことです。そうすれば選句能力が向上して良い句を作れるように
なると思います。
今回、私がこれまで目にした句の中から一句をご紹介します。
木の実独楽はじかれどおし泣きどおし 岩尾可見
<三徳の解釈>
昭和の初め私が子供の頃、子供たちの遊び場の雑木林には、どんぐりが無造作に
転がっていました。かっこよくて強そうなどんぐりを独楽に仕上げては腕白坊主が
競い合ったものです。強い独楽とぶつかり合うと、それこそ自分がはじき飛ばされ
ているようで、子供心にも悲哀を味わいました。易しい表現でぴたりと言い当てて
います。
一方で、これは人生の側面を読んでいるものとも思えます。辛く悲しく切ない人
生です。私は幼い頃を懐かしく憶います。
可見さんは白俳句会の仲間でしたが、体調を崩されて音信が途絶えてしまいました。
気がかりです。
photo: y. asuka