季節の料理解説 皐月(五月) そら豆のワカメ煮



 フランス家庭料理の専門家でもある西井香春先生は、西洋料理と日本料理の違いの一つに器の大きさを上げています。

 日本料理で使われる器は、基本的には小作りで、持って食すことを前提としています。

 尼寺で精進料理という雰囲気に飲まれて、必要以上に鯱鉾ばってしまい、西洋料理のようにお皿に手をかけないで食す方が割と多くいらっしゃいます。

 そら豆のワカメ煮は、ワカメと昆布の出汁が十分に染み出たお汁ことが味わうべき要だったりするのですが、お盆に置いたままのお皿にお箸を使ってではそれを味わうことは出来ません。
 小皿にお汁をしっかりと残していく方もいるのですが、三光院として味わっていただきたいのはそのおつゆなのです!

 どうぞ遠慮なさらずに、小皿を持って、お口を付けて飲み干してください。
 そら豆の爽やかな風味と共に、暑くなり始めたこの時期に、深い味わいを届けてくれるはずです。また、お酒にも非常に良く合います。

 五月豆を始めとして多くの別名を持って愛されているそら豆ですが、実は日本では明治以降に広まった割合に新しい食材になります。
 三光院では薄皮まで剥いて料理しますが、外皮も含めていわゆる残飯が多く出る食材とのイメージも強くなっているようです。
 薄皮は素揚げにしたり、お団子にしたりして賄いとしていただきます。
 外皮は畑に堆肥として埋め込みます。食すことだけが無駄を省くことではありません。

 本日、今年最後の筍が支援者さんに掘られていきました。

 美味しい恵みを与えてくれた竹林には、お礼肥えを五月中に行います。
 昨年辺りのそら豆の外側が、畑の端で肥えた土になって待機しています。
 昨今SDGsと呼ばれるようになった事柄は、お寺では古くから日常として行われてきたことでもあります。

 なんでも完璧を目指すと軋轢が生まれます。出来ることを、出来る範囲で、。
 食材に想いを向けることも、食禅になります。貴方が食す料理はどのようにしてそこに辿り着き、その後どこに向かうのか?
 それぞれの答えはあっても、正解はありません。
 時々でも、食材と自分と向き合って、自問してみてください。

 

●質問●写真を掲載しようとすると、古い記事の写真は消さないと容量が確保できないみたいな状態になっています。投稿自体少ないので、写真点数も10枚どころか5枚もありません。無料だと写真掲示できないものでしょうか?

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