四月十六日、羅漢の縁日に寄せて
三光院では四月十六日に、年に三度だけ調える「羅漢膳(らかんぜん)」の最初の日を迎えます。
今年は禅会の日程に合わせて十七日を予定。(日中14時からは作務禅会、夜20時からは座禅会。羅漢膳は19時からなのでついでに参加される方も歓迎してます)
この日の主役は、驚くほどシンプルに「最高級の米と塩」だけ。
一切の飾りがないからこそ、一粒の美しさ、一舐めの塩味に真っ直ぐ向き合う、研ぎ澄まされたひとときとなります。
羅漢(聖者)は、一切の執着を捨て、「命を繋ぐための最低限のもの」があれば、それだけで心満たされる境地にあるとされます。
米と塩だけの羅漢膳は、その「足るを知る」心を体験する場でもあります。
(ちなみに羅漢は個人名ではなく、分かりやすく表現すると階級名に近いですかね。修行の到達点に達した者、みたいな)
しかし、三光院では、あえてその最低限の食材の中で「最高峰」を用意します。 それは贅沢をしたいわけではなく、三光院にとっての大切な「学び」だからです。
普段、お昼にお出ししている精進料理では、産地やブランドを誇ることはいたしません。
日本唯一の御所流精進料理は、一種の贅沢さや雅さが内包されたものですが、同時に尼禅寺の中で洗練され続けてきたものなので、料理屋のそれとは異なります。
どこどこ産地のものではなくては料理を作れない!なんてことはあり得ないのです。
それよりも、支援してくださる方々から届く不揃いな野菜や、知人が「使って」と託してくださる季節の品といった、温かな「ご縁」も大切に取り込んでいきます。
形が不格好なのは当然として、だいぶ糖度が低いとか、その野菜としての特徴に欠ける、なんて素材が届いた時でも、どうにか工夫を凝らし、技術と心を尽くして、目にも鮮やかな一皿に仕上げる。
これこそが、比丘尼御所の流れを汲み、なおかつ星野香栄ご住職様が精進料理総本山を標榜した三光院の誇りなのです。
しかし、その「活かす力」を磨くためには、素材の本当の姿、つまり最高峰の味を「識(し)る」必要があります。
本物の潔さを知ってこそ、日々のささやかな食材の中に隠れたおいしさを、逃さず見つけ出せるようになる。
何も足さない米と塩の到達点を識ることで、余計なものが削ぎ落とされ、自分を生かしてくれる命の根源がいかに尊いものかが見えてくるのです。
大袈裟に聞こえますかね?しかし本当の最高級を理解するのは、簡単なことではありません。(一流芸能人が本物を見分ける番組とかありますが、料理人でも本物を見分けることが出来る層は厚くないのが実状ではないでしょうか)
例えば西井香春先生は「三光院は農家ではない。三光院は食材屋ではない」と堂々おっしゃいます。
三光院の格式と言いますか、良い意味での誤解幻想と言いますか、お客さまの中には、三光院ですから、食材は全て自前で作っているのでしょう?と考える方も多いのです。
しかし、農家の作業や、食材屋さんの労働は、料理を作る片手間に出来ることではございません。
食材はいただきもしますが、基本的にはちゃんと専業のプロの方から購入させてもらっています。
それでも、西井香春先生は畑を自ら作りましたし、今でも畑はあります。
また、年間を通して、食材の仕込み機会も設けています。
提供する野菜の全てを育てることは出来なくても、野菜の特性を知るために、少量でも育てることは重要だと考えるからです。
例えば精進料理を提供するのに、毎日二十個前後の茄子が必要になります。月なら五百個です。とても育てられません!が、茄子を3株植え育てることは出来ます。それによって茄子の本当の旬や特徴を知る機会を得れるのです。
三光院産の野菜や生り物も当然、お料理に使われますが、大半は購入しています。(今月の季節の料理のセリも同様です。昨日なんかは三光院産のセリも混じりましたが、大半は購入しています)
良いセリは農家さんに作っていただく。けど、同時に可能な限りで育てても見る。これも楽しい御修行の一つになるのです。
三光院のお料理に使う、お味噌も、豆腐も、蒟蒻も、同様に購入しています。
が、購入するだけでは目利きにさえ満足になれません。
なので、年間を通して、仕込みの機会も設けて、お味噌も、豆腐も、蒟蒻も、粟麩もetc自分達で作る機会を設けるのです。
(その中の一部は、外部の方とも共有するために、料理体験会として開催しています)
西井香春先生はフランス料理から精進料理に転向されてから、日本各地の精進料理を体験する会を教室の生徒さんたちと続けておられました。
勝手な空想や判断ではなく、実体験して知るからこその学びは必ずあるのです。
そこで重要になるのが羅漢膳です。
正直言いまして、三光院で使われている食材は、御縁の食材も混じりますが、基本的に良い素材が使われています。ですが、最高級ではありません。
これは星野香栄御住職様が、誰にでも召し上がっていただける値段は維持しなくてはいけない、とおっしゃっていたことにも由来します。
したがって普段は使えない高級食材を、この日はきちんと体験します。
最高級のお米と、最高級のお塩(と体験したことのないお塩)。
そのお米に合わせた、研ぎ方と炊き方を探ります。
西井香春先生といえども、全てのお米やお塩を識っているわけではありませんので、学びは永遠に続きます。
当日は西井香春先生に、お米の研ぎ方と炊き方も教わります。
人数制限がありますが、土鍋で自分の分だけのお米を炊きます(予定変更もあり得ます)
四月は、お釈迦さまの育ての親であり、尼僧の先駆けとなった摩訶波闍波提(まかはじゃばてい)さまの慈しみを感じる月。
彼女はかつて、五百人の女性たちと一緒に修行に励み、全員が一度に聖者(阿羅漢)になったといわれています。
そんな女性たちの凛とした姿を思い浮かべながら、三光院では四月、九月、十二月の三回、それぞれに想いを込めた膳を調えます。
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四月(春羅漢):【識る】 最高級の米と塩を味わい、心と技を律する「学び」の膳。
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九月(五百羅漢):【開く】 五百人の女性聖者が悟りを開いた喜びを映す、お皿を多く並べた華やかな膳。
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十二月(終い羅漢):【納める】 新嘗祭を終え、神仏のお下がりとして届く新米と新酒で、一年を静かに結ぶ膳。
四月はその第一歩。 基本的には三光院内弟子の研鑽の場ではありますが、「お米と塩」を通じて自分を見つめてみたいという方は、どうぞ気軽にご参加くださいね。
※同日の作務禅会は予約不要、会費無料。座禅会は予約必要、会費無料。
羅漢膳は予約必要、会費必要になります。お一人五千円。
参加希望者は下記メールまで、お名前と電話番号を明記で予約申し込みしてください。
sankouinsns@gmail.com
※四月十六日は三光院裁判の判決日。三光院から精進料理をなくそうと必死になっている小泉倖祥氏ですから、一体これらの行事もいつまで継続できるか予断が許さない状況ではあります。が、三光院の場の力を信じて、内弟子も予定通りに準備奮闘中。今年のお塩選択は内弟子の意見も取り入れられました!さてさて、西井香春先生の評価はいかに?
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