●甘味(デザート)が最初に出される?

 

 三光院ではまず最初に出てくるのが甘味の最中です。皮の模様は笹竜胆。一般的には源氏の御紋として知られていますが、三光院の紋でもあります。

 

 パリパリに焼き上げた最中に直前に餡子が詰め込まれます。その中央には大徳寺納豆が配置され、塩味を効かせて甘味をより引き立たせています。

 

 最初に甘味?と誤解されることが多いのですが、京都では食事をするしないに関らず、来客にはまずお茶でおもてなしをする文化があります。

 この場合のお茶とは抹茶(お薄)のことです。甘味はお薄の味わいをより深めるために提供されるものなので、あくまで最初に出てくるのはお薄ということになります。

 

 最中はお抹茶が出されるまで待つ必要はなく、パリパリのうちにお召し上がりください。

 

補足:大徳寺納豆とは?

 上記写真が大徳寺納豆です。大徳寺の僧侶が作ってきた独特の風味を持つ豆で、塩味があるのが特徴です。元々は僧侶ごとに出来が変わる風味を楽しむものでもありましたが、現在では専門業者が寺院前で居を構えて、安定の風味で販売されています。

 唐から鑑真和尚が伝えたとの逸話もありますが、一般的には大徳寺第47世一休宗純禅師が伝え残したとされています。昭和の時代に、アニメの影響で有名になったあのトンチの一休さんです。

 そうしたこともあり、同様の風味をもつ豆を、唐納豆、寺納豆と呼んだりもします。

 塩味で甘さを引き立てるという点では、関東では木村屋のアンパンに乗せられた桜漬けの方が馴染みがあるかもしれません。

 

注意:特に断りがない限り、この文書内で京都と表現する場合は、比丘尼御所の文化、特に三光院の出自である曇華院の文化のことを指します。京都全体のことではありません。