サンコー薬局羅漢店の岡本です。

 

今回から、発達と栄養の関係についての連載を始めていこうと思います。

まず初回は、鉄の摂取が有効な症状についてのお話です。

 

 

☆鉄の摂取が有効な症状について

 

鉄不足のお子さんは実はとても多いのですが、

発達障害においてさらにその傾向が強く、その割には見逃されやすい分野でもあります。

 

鉄は、神経伝達物質の合成過程で必須のミネラルです。

成長期には特にその影響を受けやすいことが知られており、特有の問題が生じやすいのが運動領域です。

 

 

●運動神経チェックポイント

*歩き方がぎこちない

*マット運動、鉄棒、跳び箱などが苦手

*ラジオ体操などの簡単な運動ができない。

*よくつまづいて転ぶ

*運転で車をこすることがとても多い

*自転車に乗るのが苦手

*歩いているときによく人とぶつかる

 

●多動チェックポイント

*落ち着きがないと感じる

*長時間のデスクワークがとても苦手

*いつも体をゆすったり、動かしたりしている

*ペンや鉛筆を回し続けるなど、同じ動作を繰り返す

*貧乏ゆすり

*同じ体制を維持できない(いつも何かにもたれている、すぐ横になる、すぐ顔を伏せる)

 

 

 

~鉄不足タイプの対策について~

鉄の補充がまず一番大切です。

そこで、どのような鉄を、どのように摂取すると有効なのか、コツをお話ししたいと思います。

 

鉄には野菜などに含まれる非ヘム鉄と、肉などの動物性食品に含まれるヘム鉄があります。

ヘム鉄はもともとタンパク質にくるまれて吸収されやすい形になっているので、比較的すんなりと吸収されます。一方、非ヘム鉄の吸収率は非常に低く、吸収されるときに活性酸素を出して粘膜を攻撃してしまいます。また、一緒に食べたものに簡単に影響されてしまいます。

貧血対策にはヘム鉄を含む食品を食べましょう。

同じ量の鉄でも、ヘム鉄と非ヘム鉄で吸収が6倍近い差があります。

 

また、鉄の取り方にもコツがあります。

ただ鉄だけを取るのではなく、必要なところにちゃんと運ばれて、必要な形に変換され、うまく利用されなければ意味がありません。

人のからだは、微妙な割合でミネラルバランスが保たれており、このミネラルのバランスがとれてこそ人は健康でいられます。

例えば、鉄だけを大量に摂取すると、亜鉛や銅の吸収が妨げられ、結果的に鉄の利用が阻害されてしまいます。

また、鉄を運んでくれるタンパク質(トランスフェリン)に鉄が乗るときには銅が必要(セルロプラスミン)ですし、亜鉛はヘモグロビンの合成にも関係していますので、これらのミネラルは一緒に摂るのが理想です。

 

サプリメントなどで鉄を摂取するときは、

亜鉛、銅、そしてビタミンB群を含むものを選び、

たんぱく質の摂取もしっかり行っていきましょう。