大気汚染が肺癌の発生につながる可能性は、昔から言われてきましたが、実際に大気中の極めて小さな粒子状汚染物質であるPM2.5が、非喫煙者の肺癌のプロモーション(既存の腫瘍が刺激されて成長すること)に関与していることが疫学調査と前臨床試験モデルを用いた研究で示され、2022年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されました。
 

 実際に、2017年に発表されたCANTOS試験において、PM2.5の発がん機序を抑制する物質である抗インターロイキン1β抗体のカナキヌマブが、肺癌の死亡率を低下させることがわかっています。