高齢者では聴覚や視力の低下に加えて、嗅覚の低下も起こりやすくなりますが、嗅覚が不良な高齢者では、嗅覚が良好な高齢者に比べ、10年後の総死亡リスクが46%高かったという報告が、Ann Intern Med誌に掲載されました。死因別の分析では、嗅覚不良は神経変性疾患(認知症またはパーキンソン病)と心血管疾患による死亡リスクの上昇に関係していました。

 

 高齢者では最大25%に嗅覚の低下が見られるという報告がありますが、視覚や聴覚と異なり、本人や周囲に認知されないままになっている場合が少なくありません。

 

 嗅覚の低下は、安全や栄養状態、QOLに影響を及ぼします。また、嗅覚低下が、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の初期症状の1つであることも報告されています。