新しい骨粗鬆症治療薬ロモソズマブ(商品名イベニティ皮下注105mgシリンジ)が発売されました。

 

 適応は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」、用法用量は「成人、1カ月に1回210mg(シリンジ2本)、12カ月間皮下注」となっています。

 

 従来より、骨粗鬆症の治療薬は、活性化ビタミンD製剤、骨吸収抑制薬としてビスホスホネート製剤、ラロキシフェン(エビスタ他)などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、骨形成促進薬としてテリパラチド酢酸塩(テリボン)などのヒト副甲状腺ホルモン(PTH)製剤などがありましたが、ロモソズマブは、骨形成促進と骨吸収抑制の両作用を持つ骨粗鬆症の皮下注射薬です。

 

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 ロモソズマブは、スクレロスチンを阻害するヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体であり、既存の薬剤とは異なる作用機序を有する。骨細胞によって骨内部で産生される糖タンパク質であるスクレロスチンは、骨芽細胞による骨形成を抑制するとともに、破骨細胞による骨吸収を刺激する。本薬は、このスクレロスチンに結合して阻害することで、骨形成を促進するとともに骨吸収を抑制する。これにより、海綿骨および皮質骨の骨量が急速に増加し、骨の構造および強度が向上することで、骨折リスクが低下すると推測されている。

 

 閉経後骨粗鬆症患者および男性骨粗鬆症患者を対象とした主要な国際共同第3相試験(対照:プラセボ)で、ロモソズマブの有効性と安全性が確認され、今回、海外に先駆けて承認された。

 

 主要な国際共同第3相試験から、副作用(臨床検査値異常を含む)が16.4%に認められている。主なものとして関節痛(1.9%)、注射部位疼痛(1.3%)、注射部位紅斑(1.1%)、鼻咽頭炎(1.0%)などがあり、重大な副作用は低カルシウム血症、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、大腿骨転子下および近位大腿骨骨幹部の非定型骨折を生じる可能性がある。

 

 なお、本薬投与中は適切なカルシウムおよびビタミンDの補給を行う。また、重度の腎機能障害患者あるいは透析を受けている患者は、低カルシウム血症が発現しやすいので慎重に投与する。本薬の12カ月間の投与終了後は、原則として適切な骨粗鬆症薬による治療を継続することに留意する。