帯状疱疹は高齢者に多い疾患で、超高齢社会において増加を続けています。80歳までに3人に1人が発症するといわれています。
多くは抗ヘルペスウイルス薬による治療で治癒しますが、患者の20%は頑固な痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行します。
帯状疱疹は、小児期の水痘罹患時に体内に入り神経節に潜んだ水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が免疫の低下で再活性化し、神経や皮膚を攻撃する病気です。
治療における最近の話題は、新しい抗ヘルペスウイルス薬アメナメビルの登場です。従来の抗ヘルペスウイルス薬はDNAポリメラーゼ阻害薬ですが、アメナメビルはヘリカーゼ・プライマーゼ複合体という、DNA複製の開始段階で働く酵素を阻害する薬剤です。
また、2016年、50歳以上の帯状疱疹予防に、弱毒生水痘ワクチンが使えるようになりました。このワクチンは30年以上前から水痘予防に用いられており、安全性には定評があります。とはいえ生ワクチンであるため、免疫機能に異常のある人や免疫抑制を来す治療を受けている人には接種できません。また、このワクチンには10年程度で効力が切れるという弱点があります。自己負担(7,000〜9,000円)であることも相まって、患者さんの認知度もまだまだ不十分です。
現在、免疫抑制例でも使用可能な不活化ワクチンが申請中であります。