少ないより多い方が死亡リスクは低く、炭水化物摂取量が多すぎると死亡率が増加

-18カ国の食生活調査とコホート研究から 

 

 20世紀の栄養学では、脂質を控えることが動脈硬化症の予防になると信じられてきたが、現行の食生活ガイドラインの是非を問う分析結果が、Lancet誌電子版に2017年8月29日に報告された。カナダMcMaster大学のMahshidDehghan氏らは、18カ国の中高年の人々を中央値7.4年追跡し、ベースラインの炭水化物や脂質の摂取量と、総死亡、心血管イベント、心血管死亡などとの関係を調べた。得られたデータは、総エネルギー量に対する炭水化物由来のエネルギーの割合が60%を超えると、摂取量が多いほど総死亡リスクは高くなること、また、総脂肪と飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の摂取量は、少ないより多い方が死亡リスクは低いことなどを示した。

 

 ちなみに、現行のガイドラインは、総エネルギー量に占める脂質由来のエネルギーを30%未満にし、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えて、飽和脂肪酸由来のエネルギーを10%未満にすることを推奨している。しかし、その根拠となっているデータのほとんどは欧州と北米の人々を対象とした研究に由来し、世界の他の地域においても、欧米のガイドラインが有用かどうかは分からなかった。