糖尿病合併高血圧患者に対するACE阻害薬と葉酸の併用は蛋白尿の発現抑制に有効であると、中国のグループがHypertension(2017; 70: 300-306)に発表した。

 この知見は、中国における高血圧患者を対象にした脳卒中初発予防試験の腎臓サブスタディの事後解析から得られた。

 

 対象は、蛋白尿のない高血圧患者1万3,071例。エナラプリル10mgと葉酸0.8mgを含む錠剤を連日服用する葉酸併用群に6,511例、エナラプリル10mgを連日服用するエナラプリル単独群に6,560例をランダムに割り付け、蛋白尿の新規発現率を比較した。治療の中央値は4.4年だった。

 

 解析の結果、蛋白尿の発現率は葉酸併用群が3.5%、エナラプリル単独群が3.9%で有意差は見られなかった。しかし、登録時に糖尿病を合併していた患者における蛋白尿の発現率はエナラプリル単独群の7.4%に対し、葉酸併用群では3.7%と有意に低かった(オッズ比0.48、95%CI 0.29~0.81)。また、ACE阻害薬と葉酸の併用は糖尿病合併高血圧患者の死亡の減少および腎機能低下の軽減と関係していた。

 

 一方、登録時に糖尿病の合併がなかった高血圧患者では、葉酸併用群とエナラプリル単独群の転帰に有意差は認められなかった。