この業界に入り早二年が経過しましたが、
仕事をしていると毎度のことのように「規格に沿った試験(測定)を~」という言葉を耳にします。
お客様は違えど、共通の条件で測定や試験をしないと、品質を担保できないためですが、
そう意味では評価するということは意外と難しくて、奥が深いんだということをこの業界に入って実感した次第で御座います。
私は大学卒業までサッカーをしていたのですが、
スポーツにおいての評価というのは非常に曖昧なものだったなと今になって思います。
結局は指導者の主観によって試合に出るメンバーが決められちゃいますしね。
だかしかし!
最近になって、その曖昧だった評価方法も時代と共に変わってきております。
その例として野球のセイバーメトリクスが筆頭でしょう!
セイバーメトリクス (SABRmetrics, Sabermetrics) とは、野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法である。
今までもデータを取って比較はしていました。
例:打率、防御率、HR数etc...
しかし最近になって、
打率やHR数は球場によっても違うのでは、、、?
防御率はチームの守備力に影響するのではないか、、、?
と疑問に持った頭の良い人が、独自の指標を作ったのがセイバーメトリクスです。
ただ、条件を揃えて試験や測定をこの業界でするように、条件を揃えて野球をするということは残念ながら不可能なので、
もじ同じ条件で野球をした場合の指標
や
球場等の条件に左右されない数値になります。
主な指標としては
OPS、UZR、WAR、WHIPなどが挙げられます。
興味がある人は是非検索してみてください。
僕の百倍くらい詳しい方達が懇切丁寧に説明されているブログがたくさん御座います。
こういった条件に左右されないor条件を一緒と考えた場合の数値で評価をすることが最近では増えてきました。
そしてその波はサッカー界にもきています。
今熱い指標が、
xG
と呼ばれるものです。
xGとは
サッカーとはゴールの数を競うスポーツであり、ゴールを奪うためのアクションがシュートです。そして従来のスタッツとしてシュート本数(さらに枠内シュート本数)が用いられてきました。しかし全てのシュートが同じ価値を持つわけではありません。ゴールから近ければ近い方が得点の可能性が高まります。ボールとゴールの間に敵がいない方が得点しやすくなります。そういったことを考慮して(パラメータに組み込んで)、ある特定の状況でのシュートがゴールになる確率を求めます。
出典:https://www.sportsanalyticslab.com/column/xgplot.html
例えばシュート数が
Aチーム100本 Bチーム10本
とかだったら、これだけ見ると
Aチームすごい攻めてたんだなーって思いますよね。
それで、結果が
Bチームが1-0で勝ちましたとだと
Bチーム運良かったんだなーってなりますよね。
上記は少し極端ですが、
サッカーの評価というのはかなり曖昧で、
セルジオ越後さんが喝を入れたかと思ったら、
松木さんはべた褒めとか。
そういった各々の主観を取り除いた客観的な得点確率を出したのがxGです。
xGというのはビックデータをもとに一本一本のシュートを場所や、条件(クロスからなのか、スルーパスからなのか等)
から確率を出しそれの累積がxGとなります。
上記のAチームはとりあえずどこからでもシュートを打って、
逆にBチームはPA内でしかシュートを打っていなかったら、シュート数は100:10でも
xGは0.1:1とかになっており、
※xGの数値はその1試合の得点確率です。上記の数値だとAチームは10試合やって1点とれるかどうかとなります。
Bチームが勝ったのはたまたまではなく、必然だったと考えられます。
もう一度言いますが、上記の例はかなり極端なので、
おそらくその試合を見ててもBチームが優位だというのは一目瞭然だとは思いますが、
xGが1.2:1.5とかになってくると、
どんなにサッカー通の人が見てても、正直どっちが優位とかは試合を見てても判断がつきません。
その試合が良い試合をしていたけど負けてしまったのか、
たまたま運よく勝てたのか。
xGを見ることで判断がつくようになったことは今後のチームマネジメントに大きく影響をもたらすと思います。
じゃんけんやって三回連続で負けても運悪かったなーって分かりますけど、
サッカーで三連敗したら流石にやってるサッカーが悪いのではないかと考えちゃいますよね。
けど実はxGは毎試合相手を上回っていたら。
やってるサッカーは悪くなかったと自信をもって次の試合に臨めます。
ここで大切なのは、自分たちのやっていることが客観的な数値として、確率が出てくれることです。
ただ一つ注意が必要なのは、
xGという指標は個人の力量は入れてはいないので、
例えxGで上回ってても、リオネル・メッシさんがいるチームの方が勝ちます。
ここでテクニカルな考え方をすると、
スーパースターがいるチームは互いのxGが少なくなるように試合を停滞させた方が勝てるかもしれませんし、
(互いに得点の確率が減るなら、個人の力量で差が出るため)
お金のない、スターを呼べないチームは、xGを増やすことのできるチーム戦術をとるようになるかもしれません。
こういった主観にとらわれない客観的なデータのとり方というのは、
今の仕事に通ずるところがあり、面白いですね。
個人的には、今後なにかしらでスポーツに関われるようになりたいと考えておりますので、
今の仕事を頑張りながら、こういったスポーツに通じるところも見逃さぬようにしていきたいです。
残念ながら指標を考えられるような統計学に知識を僕は持ち合わせていないため、
様々な計測器を見て知って、応用できないかを妄想しながら精進していきます。
浜松 D・H