防共精神の立場で日本と完全協力 -ローマ法王庁の指令-【ヴァチカン･シチー特電十四日発】日本の支那に対する行動に関しローマ法王庁当局が、その管下にある世界中の教会、特に極東に在るカソリック教会及び伝道支部に対して「共産運動の危険が事実存在する限りにおいては日本の行動に協力すべき」旨の内命を発したことが最近に至り明らかにされ注目されている、右法王廟の方針は非公式のものであるがその覚書の要旨は次の如し今回の日支間の紛争に対するカトリック教の立場はこれに介入せざることと負傷者に対しては公平、均等に救助に励むべきも同時に日本の迅速な行動はこれを妨げることなきを期すること蓋し今回日本の直接の関心は共産党勢力のアジア浸潤駆逐に他ならないからである。なお以上の覚書は具体的に次の諸点をも指令したと伝えられる1.日支双方の負傷者救助2.日本の文明擁護の意図を支那が了解の必要あることを説き同時に外蒙よりする凶暴なる影響を駆逐すること3.支那領土は厖大なるを以って容易に日本の勢力を吸収し得るべきを説く4.共産主義の危険が存する限り遠慮することなく日本を支援すべきこと5.日本軍支局に対しカソリック教会の立場は全然日本との協力にあることを徹底せしめること日本援助を闡(セン)明（米カソリック教徒)【ニューヨーク特電14日発】ローマ法王庁が日支事変に際して支那において共産党分子が活躍する場合、世界のカソリック教徒が団結して日本と協力するよう全世界のカソリック教会に指令を発したことは事実であって、米国でもセンセーションを起こしたが14日カソリック教の有力者数名はニューヨークの帝国総領事館を訪問しローマ法王の趣意を説明し米全国二千六百万カトリック教徒は団結して支那の赤化、支那とソビエトロシアとの提携に対して日本に味方する決心である、米全国には約ニ千六百万のカトリック派の宣伝機関があるが、それ等の派閥が一致して米国の日本品不買運動その他に対しても日本の味方として反対運動を起こすであろうと語り日本の立場を明らかにすべき材料の提供を受けたが凡ゆる方面で全米に勢力を有するカトリック教徒の日本に対する同情と提携とは各方面で注目されている
16/10/1937 東京朝日新聞
防共精神の立場で日本と完全協力 -ローマ法王庁の指令-
【ヴァチカン･シチー特電十四日発】
日本の支那に対する行動に関しローマ法王庁当局が、その管下にある世界中の教会、特に極東に在るカソリック教会及び伝道支部に対して「共産運動の危険が事実存在する限りにおいては日本の行動に協力すべき」旨の内命を発したことが最近に至り明らかにされ注目されている、右法王廟の方針は非公式のものであるがその覚書の要旨は次の如し
今回の日支間の紛争に対するカトリック教の立場はこれに介入せざることと負傷者に対しては公平、均等に救助に励むべきも同時に日本の迅速な行動はこれを妨げることなきを期すること蓋し今回日本の直接の関心は共産党勢力のアジア浸潤駆逐に他ならないからである。なお以上の覚書は具体的に次の諸点をも指令したと伝えられる
1.日支双方の負傷者救助
2.日本の文明擁護の意図を支那が了解の必要あることを説き同時に外蒙よりする凶暴なる影響を駆逐すること
3.支那領土は厖大なるを以って容易に日本の勢力を吸収し得るべきを説く
4.共産主義の危険が存する限り遠慮することなく日本を支援すべきこと
5.日本軍支局に対しカソリック教会の立場は全然日本との協力にあることを徹底せしめること
日本援助を闡(セン)明（米カソリック教徒)
【ニューヨーク特電14日発】
ローマ法王庁が日支事変に際して支那において共産党分子が活躍する場合、世界のカソリック教徒が団結して日本と協力するよう全世界のカソリック教会に指令を発したことは事実であって、米国でもセンセーションを起こしたが14日カソリック教の有力者数名はニューヨークの帝国総領事館を訪問しローマ法王の趣意を説明し
米全国二千六百万カトリック教徒は団結して支那の赤化、支那とソビエトロシアとの提携に対して日本に味方する決心である、米全国には約ニ千六百万のカトリック派の宣伝機関があるが、それ等の派閥が一致して米国の日本品不買運動その他に対しても日本の味方として反対運動を起こすであろう
と語り日本の立場を明らかにすべき材料の提供を受けたが凡ゆる方面で全米に勢力を有するカトリック教徒の日本に対する同情と提携とは各方面で注目されている