「福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった」 高田 純 ③ | 産経新聞を応援する会

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ダモクレスの剣と愛国の心

 隣国中国は核武装を完成させ、いつでも我が国に向けて核ミサイルを撃てる状態にある。一メガトン威力の核一発で、東京は壊滅し、三百五十万人が死亡する3。その核を二百七十メガトンも実戦配備し、吉林省など東側に日本や台湾に向けてミサイル基地を配置する中国。この日本列島の真上にぶら下がったダモクレスの剣を話題にもせず、NHKをはじめ朝日、毎日などの新聞は、三月十二日以来、誰も死なない低線量の福島核事象を大騒ぎした。

 昨年の九月七日、尖閣諸島海域で起こった中国漁船の衝突、政府は接触事故という風に片付けようとしたけれども実は体当たりだった。中国の領土、領海拡大政策、まさに二十一世紀の帝国主義国家。これを隠蔽しようとしていたのが何故か国を守らなくてはいけない日本政府だった。最大の脅威に沈黙する政府に加え、重要なポイントはメディアの隠蔽にある。隠蔽に加担していない産経新聞などは少数派だ。

 私は大学院博士課程時代の広島黒い雨の調査を原点に、チェルノブイリ原子炉核分裂暴走災害、カザフスタン・ビキニ・楼蘭での核爆発災害を調査した4。そのなかで世界最悪の核災害は、NHKが長年古代ロマンのみを報じてきた楼蘭周辺のシルクロードである。

 広島の核の千三百七十五発分に相当する二十二メガトンを炸裂させ、兵士も含むウイグル人たちが殺されている5。地表核爆発で環境に飛び散った放射能の総量は、チェルノブイリの八百万倍。少なく見積もっても十九万人が死亡、漏えいした機密文書によれば、七十五万人が殺されている。天山山脈の北側に位置するカザフスタン国境の街は爆発地点から千kmも離れていたが、少なくとも二回、中国からの核の砂によって百ミリシーベルト以上の線量を受けている。これは、カザフスタンと筆者の一致した調査結果である。

 昭和三十九年十月の東京オリンピックの開催中に始まった中国の核爆発は、平成八年まで続いた。NHKの大型番組に誘導されてシルクロードを観光した日本人は二十七万人と推計される6。日本人旅行者たちの被害は甚大にちがいない。今、少しずつだが、その情報が筆者の行うシルクロード科学プロジェクトに寄せられている。この時から、NHKは中国の国家犯罪の隠蔽に加担するようになった。放送法違反行為だ。

 その間、日本にもその核の黄砂を降り続いた。セシウム、ストロンチウムが偏西風に乗って日本列島に降り注ぎ、外部被曝のみならず、飲料水の他、野菜、牛乳、米からの食物連鎖で、全国民が顕著な内部被曝線量を受けた。筆者は、ストロンチウムが骨格に沈着する内部被曝の研究を文部科学省の科研費を受けて、平成二十一年から三年計画で、この種の研究をしている。

 筋肉に蓄積するセシウムの人体中での実効半減期が百日であるのに対し、骨格中のストロンチウムの実効半減期は十五年と長いのが特徴である。多量に取り込んだソ連テチャ側での事例では、白血病が多発している。昭和四十年代生まれと、その時代に育ち盛りの中高生だった日本人の骨格に、顕著な量の放射性ストロンチウムが沈着していることが、長年の放射線医学総合研究所の解剖死体の骨の分析から知られている。その放射能の値から筆者が、内部被曝線量を計算すると、四千km離れた日本人は一~七ミリシーベルトを受けている。

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