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『サンカ研究』(山窩ラボ)

「サンカ」「山窩」という不思議な存在を調査し、宣伝していきます。



以前、Twitterで批判的な内容の@Tweetをいただいた
ことがありました。


その内容は、
「『サンカ』にロマンを抱くのはいかがなものか。
『漂泊の民』というが、
ただの『無戸籍非定住の人々』にすぎない。
そんなはぐれ人はいつの時代にもいただろう。
現代では、ホームレスにあたるのではないか。
彼らのアルミ缶拾いは、
『サンカ』の山魚捕りであり、
河川敷のブルーシート小屋は瀬降りである。
ロマンを排除してこそ、実態を考察できるのではないか」
というようなもの。
(一部意訳しました)


その後、
「突発的に批判的なTweetすみません。
ブログを楽しく拝見しています」
といった@Tweetもいただきました。
正直にいえば、最初はドキリとしましたが、
このフォローに安心しましたし、
とても嬉しく思いました。


このご指摘は、
とても重要だと思います。
まさしく「サンカ」の神髄に肉迫している指摘であり、
また素朴な疑問でもあると思います。
要するに、ざっくばらんにいえば、
「なぜ『サンカ』を特別なものとして、
ああだこうだ人は言うのか」
ということでしょう。


でもやっぱり「サンカ」は不思議なんです。
何かがそこにあるのではないかと思えてならないのです。
その「何か」を掴むことができれば
新しい世の中を創造する契機にすらつながるのではないかと、
「囁くのよ、わたしのゴーストが」。
(『攻殻機動隊』が好きです★
アライズシリーズはまだ見ていません)


現在、「サンカ」について
もっとも深く研究し、多くの情報を掴んでいるのは
筒井功氏に間違いありません。
ここで筒井氏による「サンカの定義」を確認しておきましょう。
筒井功『サンカの起源』より引用します。


サンカの起源 ---クグツの発生から朝鮮半島へ/河出書房新社
¥2,592
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すなわち本書でいう「サンカ」とは、
うんとつづめた定義をすれば、
「箕、筬、川魚などにかかわる無籍・非定住の職能民」の
ことである。
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(「筬」はオサと読みます。
織物を作る際に使う道具です)


そして、これに付随する特徴として、


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文盲が多かったこと、しばしば複数のなりわいを兼ねていたこと、
ある時代までは門付け芸・祈祷にも従っていたらしいこと、
おしなべて差別・賤視の対象になっていたこと、
その結果として縁組みは部内にほぼ限られていたこと、
などである。
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と言います。
さらに筒井氏は付け加えます。


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そして何より重要な観察点は、
彼らは歴史的存在だということである。
近世とか近代になって窮民が、
そのような生き方をえらんだ、
あるいはえらばざるを得なかった結果、
発生した集団ではない。
いうまでもなく、
普通社会の住民が零落してサンカ集団に流入した事例は、
いくらでもあった。
だが今日、
サンカの名で呼んでいるのと同種の生態・民俗を
もった人びとは遅くとも中世には、すでに存在していた。
その起源が古代までさかのぼることも、
まず間違あるまい。
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ここで筒井氏が
「近世とか近代になって窮民が...」というのは
沖浦和光氏のサンカ論を批判していることにほかなりません。


わたくしは、
筒井氏の「サンカ」観を必ずしも肯定しているわけではありません。
それはわたくしが「サンカ」を常に
「」(カッコ)で閉じていることと繋がります。
やはり筒井氏も「サンカ」という言葉に
囚われているのではないか、と思うのです。


わたくしは、「サンカ」を研究する際には
構築主義にたった言説分析をじっくりする必要があると
考えています。
まずなによりも
錯綜している「サンカ」情報を、
「サンカ」という言葉が出現した最初から
整理し直すことが肝心である、と考えます。


「サンカ」という呼称がいつ、どのように使われていたのかを
調べるには
とりいそぎ文献史学に頼るしかありません。
つまり、
「サンカ」という文字が書かれている
古文書を調査するということです。
現時点で一番古いものは、
安政2(1855)年の広島藩の庄屋文書とされています。
この文書は、沖浦和光氏によって紹介されました。


ですが、文献史学では限界があります。
「いやいや、
『サンカ』って言葉が紙に書かれてなくたって、
もっと大昔から使われていた呼称かもしれないじゃないか」
といえるからです。
でも
文献史学にのっとって調査するのは
大事ですよね?


さらにその上で、
社会学の構築主義の言説分析の手法で
「サンカ」という社会現象を分析する必要がある!
と考えます。


わたくしは、落合莞爾サンカ論のような、
陰謀論的サンカ論もとても面白いと思うので、
このブログでも取り上げましたが、
その際に自分自身への戒めとして、
あくまで言説分析の一貫として捉えるということ。
つまり、
「サンカが日本を牛耳ってるんだ!」と断定するのではなく、
「サンカが日本を牛耳っている、という言説がある」と
把握すればいいのです。


ややこしくなるので詳細には
これ以上触れませんが、
この「整理」、
つまり「サンカ」という呼称の言説分析こそ、
わたくしのやるべきことではないかと思うのです。


いずれにせよ、
筒井氏の「サンカの定義」を
一度、抑えておくことは絶対に必要なことでしょう。


さてさて、冒頭にもどります。
いただいた@Tweetをきっかけとして、
少しホームレスの小屋
(「サンカ」で言うところの「瀬降り」)
を観察してきたので、
その様子を次回からレポートしたいと思います。



「サンカ研究」山窩ラボ