
本郷次雄。ハラタケ目を中心に多くの新種・新産種を記載し、保育社の原色日本新菌類図鑑をはじめ、多くの図鑑類の執筆・監修を行った。
ここでは大阪自然史博に所蔵されている資料が多数展示された。


ヌメリガサ科の絵図。保育社図鑑に使われた図の原画。そして、そのページに掲載されている図の原画を集めて並べている。こうした原画が見られるのは貴重な機会。

クロハツモドキの図。クロハツモドキを何度も描いている。ひとくちに「クロハツモドキ」と呼んでいるものには複数種含まれているようで、そういうことを意識したのかもしれない。

テングタケ属などの図。1枚に幼菌や成菌、断面、胞子など多くの情報が書き込まれる。

オニフウセンタケやダイダイイグチなどの図。本郷が記載に用いた標本は滋賀県大津市近辺で採取されたものが多い。

図の実物を見ると下手な写真より情報量が多いので驚く。本郷はきのこを実物大で描き、水彩で着色している。

キリンタケ。ヘビキノコモドキはあるが、ではモドキじゃないのはなんだ?というと、キリンタケのこと。別名ヘビキノコ。

絵図の中には図鑑に掲載されていないものも多い。名前が属の検索表に出てくるだけのものもある。

本郷フィールド。大津市瀬田・石山あたりが多い。そうした場所も年月の経過で植生が変化し、見られるきのこにも変化があるという。

きのこを新種または新産種記載するときはひとつ標本を指定する。そのタイプ標本は種の記載のための大事な資料であるため、博物館などで保管されている。多くの種を記載した本郷の図にはタイプ標本を描いたものもある。

展示会場の最後には現代のクリエイターの作品も展示されている。これは九州を拠点に活動し、独特のタッチで描いている岩間杏美氏のきのこ絵巻。現在、全国きのこ旅をしている。

木彫作家の小島秋彦氏の作品。本からきのこがにょきにょき生えているが、これすべて木で掘られている。
展示内容の紹介はこれで終わりだが、これほどに多くの展示内容があり、すごく見所の多い展示なのでぜひ大阪市立自然史博物館で見て欲しい。10月までやっているが、一部展示替えもあるようなので、期間中パスを買って何度も足を運んでもいい。