干し柿づくり | 三十九さんの部屋

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カキノキ(柿の木) Diospyros kaki

被子植物門双子葉植物網カキノキ目カキノキ科カキノキ属
diospyros ディオスピロス(ギリシャ語「dios」(ゼウスの)+「pyros」(穀物))
kaki カキ(柿)

中国の長江流域が原産とされ、東アジアに広く分布。
日本からアメリカやヨーロッパへ伝わったという。
目、科、属名を見ればわかるとおり、カキノキは目レベルまでの基準種といえる。
さらに学名の種小名が「kaki」というように、「柿」は世界共通の名称となっている。
日本で最も生産の多いのが和歌山県で、ついで奈良県という。
柿には甘柿と渋柿があるが、もともとは渋柿しかなかったという。甘柿は突然変異で誕生したという。
渋柿は熟するまでは渋(タンニン)が強く残り、生では食べられないので、干し柿にする。干し柿にすることでタンニンが水溶性ではなくなるため(甘柿は最初から溶け出さない)甘みが勝るようになる。
砂糖を使ったお菓子が広く一般に普及するのは江戸時代も後のほうになってからで、砂糖自体も当初は大変貴重なものだった。甘いお菓子が普及する前、「菓子」といえば、果物のことをさしていた。干し柿は和菓子の原点ともされ、和菓子の甘みは干し柿の甘みが基準なのだともいわれる。

どうでもいい話
「果物」とは「樹木になる果実」のことで、イチゴとかスイカとか草本に実るのは厳密には「野菜」。

別に柿の学術的な話題をしたいのではなく、
写真は干し柿づくりをしたもの。ついさっきの作業。
全国各地にはいろんな柿の品種や干し柿があるが、こちらの地域では「つるのこ」という、長さ5cm程度、幅3.5cm程度の渋柿の皮をむいて、それをつるすのではなく、むしろなどの上で転がして乾燥させる「ころがき」というのを作る。正月には鏡餅にも使われる。
素人がやってうまくはできないのだが、なんとか作ってみようとこれで3年目になる。
つるさないのでへたを落として皮をむいて、ざるに並べて干す。
ただ干すのではなく、ある程度乾燥すると、もんだりして柔らかく仕上げる必要がある。そうこうするうちに表面に糖分がにじみ出て結晶となり、白い粉を吹いたようになる。
これが難しい。ただ乾燥させただけでは柿の干物になってしまう。

渋柿は熟する前は渋いが、熟してくると渋みが抜けて生でも食べられるようになる。これを「じゅくし」とか「ずくし」という。ただし、柔らかくじゅくじゅくした状態になるのでそれは好みか。
自然に熟する前に、お湯やアルコールで渋抜きをする方法もあるという。

農家では手でむくだけでなく、大量に作る場合は機械で作業する。へたを落とす機械を「ヘッター」、皮をむく機械を「ムッキー」という。これは冗談ではなく本当の話。
大量に生産する農家では、柿を乾燥させるのに田んぼに建てた「柿屋」という乾燥棚に並べて干す。
むいた皮はほとんど田畑の肥やしになるが、少しは皮も乾燥させて漬け物に入れられる。

カキノキは用途が広く、果実を食するだけでなく、葉は飲料に、木材は建築や工芸品に、未熟な渋柿を搾って発酵させた柿渋は塗料にされた。