名言 (63) ― 現実を踏まえぬ理想のこと | saniyのブログ ― 言葉に学ぶ

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これまで出会った言葉たちについて考えていくブログです。まず、名言から始めています。

国家を人間の天国に為(な)そうとする者は、国家を地獄にしてしまうことになる。
〔ヘルダーリン(ドイツの詩人)『ヒュペーリオン』より。〕

地獄への道は善意で舗装(ほそう)されている。
(語注: 欲しがるものを与え過ぎるなどして甘やかし過ぎるのはよくない、などのこと。)
[フリードリヒ・ハイエク(オーストリアの経済学者)]


気をつけろ。理想主義者は悪漢(あっかん)より始末が悪い。
〔オーソン・ウェルズ監督の映画『黒い罠』より。〕

 

元来、共産主義の如(ごと)くに、理想を知って、現実を知らず、その自(みずか)らの反現実性に批判精神の欠如せるものは、専制、ファッショの徒(と)にほかならぬである。
(語注: ・如(ごと)くに=ように。  ・欠如せるものは=欠如している者は。  ・ファッショ=ファッシズム。独裁政治などの全体主義的政治形態。  ・徒=その仲間。その同類の人。)
〔坂口安吾(作家)〕


哲学者たちにとって最も難しい仕事のひとつは、思想の世界から現実的な世界の中へ降りていくことである。
〔マルクス、エンゲルス『ドイツイデオロギー』より。〕



共産主義社会にしろ、福祉社会にしろ、現実の成り立ちや実際においてどうなるのかということをよくおさえずに良いこと尽(づ)くめの理想ばかり求めるなら、失敗や恐ろしい結果を招いてしまうことになる、と上の言葉たちは警鐘を鳴らしている。
〔更新追記:22/11/23〕