鳥取県境にほど近い山また山の山の奥、岡山県の最深部にひっそりとたたずむミステリースポット「お夏の墓」。

 

 

岡山駅から約100km・自動車で2時間16分、鳥取駅から約60km・同1時間20分、倉吉駅から約100km・同2時間10分、どこから行っても遠い。

 

JR因美線美作河井駅入口丁字路から岡山県道・鳥取県道6号津山智頭八東線を智頭方面へ400m進み阿波方面へ左折、岡山県道・鳥取県道118号加茂用瀬線へ入り道沿いに進む。

 

3km・4分で市営阿波バス「大ヶ山口」バス停付近で見られる墓石群、仔細不詳。

 

 

秋には曼殊沙華に囲まれた景色が見られる。

 

ここから3.3km・5分で「大杉公会堂」。

 

 

この先、便所はない。よって用を足すラストチャンス。

 

脇にたたずむ「六地蔵尊」。

 

 

六地蔵尊

 

 六地蔵は六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)の衆生を済度するという思想から、六尊の立像を半肉彫したもので六体それぞれ異なる持物印想をあらわしており、平安時代から六地蔵信仰も始まったといわれている。因みに仏像図絵による六地蔵は次のとおりである。

(「日本石仏辞典」による)

 地持地蔵 (護讃地蔵) 両手で念珠を持つ

 陀羅尼地蔵(弁尼地蔵) 右手施無畏印・左手引摂印

 宝性地蔵 (破勝地蔵) 合掌

 鶏亀地蔵 (延命地蔵) 右手錫杖・左手如意珠

 法性地蔵 (木休息地蔵)両手で柄香炉を持つ

 法印地蔵 (讃竜地蔵) 両手で幢幡を持つ

 大高下ふるさと村は、今も茅葺き民家の多い農村であるが、豪雨が続くと阿波川が氾濫し、水害を被ることしばしばあった。改修した川土手の内側に並ぶ地蔵尊の列は、出水に洗われて乱れた共同墓地などから集めてきたもので、水の平和を見守る地蔵菩薩のお姿です。

 このほか、阿波村は高福寺前の首無し地蔵、尾所の六地蔵旧道に残る道しるべ兼用の地蔵など、村の民族史にかかわる石仏が多い。

阿波村

 

以上、由来書看板全文転載。

 

脇に建つ地蔵堂は、加茂郷八十八ヶ所霊場第22番札所。

 

 

お参りとお手洗いを済ませて発車。すぐ前に見える茅葺き屋根の古民家は、自然体験活動施設。

 

 

少し進むとラスト民家群。

 

 

この先にある岡山県企業局阿波発電所より以奥は冬季通行止め。12月頃からゴールデンウイーク頃まで進入不可。そして発電所から先は道幅が狭まるので運転注意。

 

六地蔵尊から2.5km・4分で「吉井川源の流碑」。

 

 

源流碑の木柱のほかに「氷ノ山後山那岐山国定公園案内図」看板などが立っている。

 

 

その中に「おなつ伝説」の看板もあった。

 

 

「おなつ」の伝説

 

 昔、深山にはたくさんの木地師が住んでいた。ある木地師におなつという一人娘がいた。

おなつは、稀に見る美しい娘で、備前から来た若い木こりと恋仲になり、将来を誓い合った。しかし、深山での仕事を終えた若い木こりは、「必ず迎えに来る。」と固い約束をして去っていった。

 若い木こりを心待ちに、ますます美しくなったおなつは、ある日藩主の目にとまってします。お城に上がるように言われたおなつは、若い木こりとの誓いに小さな胸を傷め、とるべき道はただ一つと裏山から暗い谷底へ身を投げた。

その淵を「おなつヶ淵」といい、この淵でときどき夜になると女のすすり泣くような声が聞こえて来ることがあるという。

 深山にある木地師の墓地の片隅にたたずむ、苔むした首なし地蔵が、おなつの墓であり、お地蔵さんの首を抱いて寝ると、おなつのような美しい娘が生まれるという伝説がある。

津山市

 

以上、由来書看板全文転載。

 

お夏の墓はここから3.5km。

 

 

さ、行こ。

 

 

源流の碑から1km・2分で「鱒帰りの滝」。看板は笹に埋もれて見えないので、知らなければ素通りする物件。鑑賞は鱒返り橋の上から。

 

 

橋の先で二又に分かれる岡山・鳥取県道、右118号、左117号。どちらもこの先行き止まりの未開通路線。

 

 

「おなつの墓」は右2.8km。

 

 

岡山県道・鳥取県道117号鱒返余戸線、幅員減少、路肩崩壊箇所あり、通行注意。現在、令和5年8月台風による被災で通行規制中。なお、終了時期は未定。

 

阿波川を右に左に見ながら奥へ奥へその奥へ、橋を9つ渡ったその先で舗装道路が終了。

 

 

ここまでは自動車での侵入は可能、数台分の駐車スペース有。

 

 

「お夏の墓」の看板の先に見えるのが・・・

 

 

首の無いお地蔵さん。

 

 

阿波山の麓、嶮所谷に静かにたたずむ「お夏の墓」。

 

 

地蔵に首がないのは、伝承を信じた不届き物が持ち去ったのだとか。

 

 

お夏の墓周辺だけではなく広範囲に「木地師の墓」が見られる。

 

 

近くにせせらぎ。清浄な水と空気に包まれた別天地。

 

 

なお、電波は圏外。

 

◆概要

名称:お夏の墓

所在地:岡山県津山市阿波

駐車場:2~3台可

ホームページ:

●アクセス

鉄道・バス:JR西日本因美線下車津山市AI交通のるイコつやま阿波行き乗車15分大杉公会堂前下車約6km徒歩75分※復路便なし美作河井駅まで約13km徒歩160分
自動車:中国自動車道津山ICより35km50分