JR西日本の再開発による大阪駅新北ビルに2005(平成17)年に三越が出店を表明したことに端を発した、阪急うめだ本店や近鉄百貨店阿倍野本店の建て替え、大丸梅田店や高島屋大阪店の大増床など、百貨店や商業ビルなどの進出・増床・建替えによる売場面積の急膨張による共倒れを懸念した「大阪2011年問題」。

 

 

経営不振に陥っていた三越を救済するため伊勢丹との経営統合により2008(平成20)年4月1日三越伊勢丹ホールディングスが発足。同月8日事業主体が三越からJR西日本伊勢丹に変更すると発表。

 

 

これに危機感を抱いた髙島屋と阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オー リテイリング(以下H2O)が2008(平成20)年10月10日付で「3年以内の経営統合を目標」に「業務・資本提携」を合意。両社で業務提携委員会を設置し、発行済み株式総数の10%を相互に取得した。

 

 

2006(平成18)年6月1日セブン&アイ・ホールディングスがそごう・西武を完全子会社化。

 

村上ファンドによる松坂屋株買い占めによる経営の混乱などにより2007(平成19)年9月3日大丸と松坂屋が経営統合してJ.フロントリテイリングが発足。

 

村上ファンドの阪神株買い占めによる余波で2007(平成19)年10月1日阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合してエイチ・ツーオ― リテイリングが発足。

 

2008(平成20)年4月1日経営不振に陥っていた三越の伊勢丹による救済合併で三越伊勢丹ホールディングスが発足するなど、大手百貨店の経営統合が相次いだ。

 

これに乗り遅れた高島屋が「大阪2011年問題」に対応すべく唐突に打ち出したH2Oとの経営統合。

 

 

当初2011(平成23)年までの統合を目指すとしていたが「水(H2O)で薔薇(高島屋)は咲かぬ」と揶揄されたように両社の社風は180°異なる水と油。勝ち組同士の主導権争いに決着がつかず2010(平成22)年3月25日付で「経営統合の中止と新たな業務提携」が発表された。

 

 

2015(平成27)年にはそれぞれの株式持ち合い比率を従来の10%程度から5%程度に引き下げを実施したが資本提携は継続していた。

 

 

資本・業務提携から12年あまりを経た今月2日、両社はそのうち「資本提携を解消する」と発表した。

 

髙島屋が保有するH2Oの普通株式(6,259,500株(簿価合計5,458百万円)、H2O発行済株式総数(自己株式を除く)の5.1%)は、H2Oが自己株式として取得。

 

 

H2Oの株式を売却することで、2023年2月期において、2,610百万円の有価証券売却益を計上することを見込んでいる。

 

 

H2Oが保有する高島屋の普通株式(8,887,000株(簿価合計12,664百万円)、高島屋発行株式総数(自己株式を除く)の5.3%は、高島屋が自己株式として取得。

 

髙島屋の株式を売却することで、2023年3月期において、3,820百万円の有価証券売却益を計上することを見込んでいる。

 

株式の売却は2022年11月4日。

 

なお、業務提携は継続する。