〽鳥取にーは 亀石が いっぱいおるんやでー
海、峠、そして石垣におる。
石垣の亀石が見られるのは、鳥取市青谷町蔵内集落内にある蔵内観音堂。
それにしても、なぜここに亀石が!?
山陰道青谷インターより鳥取県道280号俵原青谷線を日置川沿いに3.5kmあまり南下した鳥取市青谷町蔵内、蔵内公民館が目印。
亀石は公民館から左。
おわかりいただけただろうか?
ここからでもわかる人にはわかる。
近づいて石垣を観察してみよう。
加工技術は材同士の隙間をまったくなくす切込接、積み方は平石の隅を立てて積む谷積み、隅石は算木積み。
えーと、亀さんは・・・!!
パッと見わかりにくいかもしれないが、おる!!
体長約2m。
デカい!!
厳つい顔。
鳥取市国府町奥谷の国史跡「鳥取藩主池田家墓所」にある「亀趺(きふ)という獅子のような顔をした中国に伝わる霊獣がモデルだという。
この亀石は、古代から伝わるものではなく、お目見えしたのは戦後。
また、他の2つとは違い天然ではなく自然石を加工したもの。
人の手によって作られたもの。
どゆこと?
太平洋戦争中の只中1943(昭和18)年9月10日の夕方に発生したマグニチュード7.2の大地震「鳥取地震」で崩落した石垣の再建に際して「縁起が良いものを」という石工たちの提案に集落の人たちが奮発して1955(昭和30)年に完成したもの。
「鶴は千年 亀は万年」ということわざに因み、集落の末永い繁栄と亀が水棲動物であることから、農業には欠かせない水に「不自由しないように」との願いも込められているという。
崩れていない奥の石垣は自然石をそのまま積み上げた野面積み。
横に回ると野面積みと谷積みの違いがよくわかる。
石垣の際に立つ丁石。
江戸時代中期の元号「寶暦十二年」の文字が見える。
石垣の上。
鎮座する観音堂。
御本尊は千手観音菩薩。
境内には幹回りおとな4人がかりのイチョウの大木。
以前は土俵などがあり、祭りのときに相撲が奉納されていたという。
洞がある古い柿の木。
その奥に円い石三つ。
この石は「力石」。
米俵を担ぐ競技の練習に使われていたという。
最奥部に土管。
人食い植物が住まうわけでも貞子の住処でもない。
観光客は知らないこんな所にこんな立派な石造物、集落の人たちの願いが込められた亀石。
見ごたえあり。
◇概要
名称:亀石
所在地:鳥取県鳥取市青谷町蔵内
駐車場:無
●アクセス
自動車:山陰自動車道青谷ICより約4km5分
鉄道:JR西日本山陰本線青谷駅下車約4km徒歩50分|自動車5分
バス:JR西日本山陰本線青谷駅下車日ノ丸バス日置線小畠上行乗車12分大坪上下車約1km徒歩15分