秋は山からやってくる。

 

 

青空に映える赤。

 

 

鳥取の奥、八頭町、赤く染まる古刹清徳寺。

 

 

鳥取県有数の紅葉の名所。

 

 

訪れたのは昨年11月、ちょうど1年前。

 

山また山の山の奥。

 

 

棟々を寄せ合うひっそりとした集落が山あいに現れた。

 

 

レトロ看板がお出迎え。

 

 

ほぼ離合困難な細道に各地から多くの人たちが自家用車で乗り付けるので、あちこちで混雑が見られる。

 

 

道を譲ったからといって死ぬわけではない。年齢性別関係なく道は譲りあおう。

 

集落の先、集会所前に巨石。

 

 

そう、巨石。

 

 

そして、看板。

 

 

ここからいよいよ道が狭まり、ますます離合困難。

 

 

あとは運。坂を上りきれば清徳寺。

 

金剛山清徳寺は、飛鳥時代の709(和銅2)年、因幡国で初めて行基の開山によって建立された高野山真言宗の寺院。

 

 

金剛山清徳寺(真言宗高野派)

 

 清徳寺は、和銅二年(七〇九)行基菩薩の開山と伝えられ、中世戦国期には平家の血をひく婆ヶ城主小松氏の祈願所として栄えた歴史を持つ寺である。

 本尊は、百済から渡来した一寸八分の阿弥陀如来像で、伝来当初廃佛の難に遭ったが、本多善光によって信濃の善光寺に安置され、その後善光の子祐善に守護されて最善の地を求めて諸国を回り、この地に至って舟形光背の後山、八葉の蓮華座を形づくる絶好の霊地として行脚を終わった。この時かねて本尊を信仰する飛彈の工匠が駆けつけ、境内の霊木をもって三間に四間、柾目の丸柱、蛇腹格子天井桧膚ぶきの御堂を建立して奉ったという。

 この御堂は、天正九年(一五八一)秀吉によって焼かれまもなく再建されたが、明治二十三年(一八九〇)火災に遭い多くの佛像と共に全焼した。

 しかし、本尊のみは善光の数珠から芽生えたと伝えられる大菩提樹の空洞に飛んで難を避け給い、小松、本多両氏の子孫の努力によって明治二十八年(一八九五)再々建された現在の本堂に奉迎された。

 この縁起によって、古くから信濃善光寺奥ノ院清徳寺と言われ、諸難除災、生死共に救済、特に母乳に格別な御利益があるとして四月及び十一月の十七日に行われるっ大法会には遠近の信者の参詣が行われる。

 境内の五輪塔群は、山中鹿之助に敗れて当寺で自害した婆ヶ城主一族の墓碑であり、菩提樹、鹿子の木などの巨木群は鳥取県の天然記念物に指定されている。

 

平成十七年八月

八頭町教育委員会

 

以上、由緒書き看板全文転載。

 

 

1895(明治28)年に再々建された本堂。

 

 

境内に見られる数多の五輪塔。

 

 

これらは山中鹿之助によって滅ぼされた婆ヶ城主一族の墓碑。

 

 

鳥取県指定天然記念物

清徳寺の巨樹名木群(指定年月日 昭和31年3月6日指定)

 

 金剛山清徳寺の境内には、地元でヒワダザクラ(檜皮桜)と呼ばれていた桜の巨木、モチノキ、カゴノキ(鹿子の木)、ボダイジュ(菩提樹)などの巨樹名木があったが、このうちヒワダザクラとモチノキは枯死し、現在はカゴノキとボダイジュが生育している。

 本堂の正面に幹のみっを残すヒワダザクラは、『因幡誌』によると、檜皮で葺かれていた本堂の屋根が崩れて倒れた上に美しい桜が咲いたことから、この名になったという。この幹は、伝承にあるヒワダザクラの後継樹と思われる。また同じく、県指定

後に枯死したものとして、参道付近にモチノキがあり、指定当時の樹高20m、目通周囲2.95mの大木であった。

 このモチノキがあった根元から約1.6m離れてカゴノキがあり、指定当時の樹高20m、目通周囲4.4m、枝張12mを測る。カゴノキはクスノキ科の常緑広葉樹で、木が大きくなると幹に美しい鹿の子模様ができることがその名のら由来であり、この木にも美しい模様が見られる。暖地の植物で、島根半島以西には多く見られるものの、県内での自然分布は希少である。

 本堂西側斜面に立つボダイジュは、指定当時の樹高15m、株の周囲5.5m、枝張22mと大木である。シナノキ科の落葉広葉樹で、釈迦に由来するインドボダイジュ(クワ科)に葉の形が似ていることから、日本の寺院によく植えられる。

 清徳寺の巨樹名木群は、当時地方有数のものであることから、県の天然記念物に指定されている。

平成31年 鳥取県教育委員会

 

以上、説明看板全文転載。

 

境内は巨樹、また巨樹、巨樹天国。

 

 

その中でもひと際存在感を放つのがこの木。

 

 

樹高20m、目通周囲4.4m、枝張12m。

 

中に入れる。

 

 

妖怪的な出で立ちは森の主。

 

 

その樹皮は鹿模様。

 

 

だから鹿子の木(カゴノキ)。

 

五輪塔群の一番奥。

 

 

縦横L字形に伸びるボダイジュ。

 

 

樹高15m、株の周囲5.5m、枝張22m。

 

こちらも妖怪的な出で立ち。


 

夜、人が寝静まった頃に踊りを踊っていそうな雰囲気。

 

本堂の奥にキニナルゾーン。

 

 

なんざんしょ?

 

 

納屋?

 

 

お社を保護するための小屋掛け。

 

 

その脇に小さな祠。

 

 

振り返れば巨石。この巨石は背後の山から転がり落ちてきたもので、うまく社殿を避けてここに鎮座したという。

 

 

巨樹に巨石、夏は紫陽花とヒメボタル、秋は紅葉。なんというボク得なお寺。

 

 

なお、毎年11月初旬から中旬にかけての紅葉まつりの期間中、日曜午後1時から野外コンサートが開かれる。また、毎年11月17日に開かれる秋季大祭では、護摩祈祷や秘仏の御開帳、特性昼食のお接待や野外コンサートが催される。

 

◆概要

名称:清徳寺

所在地:鳥取県八頭郡八頭町清徳79

宗派:真言宗高野派

山号:金剛山

院号:

御本尊:阿弥陀如来

創建:709(和銅2)年

開基:行基

駐車場:有

●アクセス

鉄道:若桜鉄道八東もしくは徳丸駅下車約5km徒歩60分
自動車:鳥取自動車道河原ICから約17km約35分