「津々浦々」の「津」は港、「浦」は海岸を指す。
つまり、あちこちの港、あちこちの海辺ということで「全国各地のあらゆるところ」を意味する。
日本は四方八方を海に囲まれた島国で、全国至る所、そこらじゅうに港や海岸在り。
土地の人にとって日常の景色だが、それ以外の人にとっては新鮮な景色と感じることもある。
眼前の瀬戸内海に浮かぶ笠岡諸島を望む笠岡市神島外浦。
当地も笠岡諸島の一部で、かつては笠岡沖に浮かぶ島嶼だったが、1970(昭和四五)年、神島-横島間の神島大橋架橋により本土と連絡。
また、1966(昭和四一年)着工、長年に亘る笠岡湾干拓事業により陸続きとなった。
国道2号笠岡バイパスから岡山県道195号神島外港線を経由、神島外港で岡山県道433号青島新開神島外港線に接続し、神島の東側を一周する環状道路になっている。
神島外港では三洋汽船の一部の便が発着。
本土と離島を結んでいる。
外港のすぐそば、県道195号沿いに立つ鳥居と小祠。
鳥居の正面に一棟。
左に二棟。
背後の山際に石柱には金神(こんじん)。
金神は陰陽道の方位神で金気の精。
脇から山の中へと続く登山道の途上、藪の奥に鎮座する小祠。
石鎚神社。
登山道の終点、藪のトンネル。
蜘蛛の巣まみれになりながら抜けた先。
笠岡諸島の島々を遠望。
家々犇めく神島の集落も直下に一望できる。
橋を渡ると極楽浄土。
小高い丘の上に鎮座する真言宗の寺院「月照山日光寺」。
江戸末期から数多くの文人墨客が止宿した寺院で、鎌倉時代にはすでに開かれていたという。
県道195号沿い、海の前に鎮座する氏神「神島神社」。
道々に建つ小堂。
神島霊場八十八ヶ所は、笠岡の商人今田慧玄が四国霊場八十八ヶ所を模して、着手から5年をかけ1744(延喜元)年に開創したとされる全行程約29キロメートルのミニ霊場。
現在も完全な形で残る数少ない霊場として、春秋には白装束を着た多くの巡礼者が訪れる。
第二十五番津照寺。
第二十六番金剛項寺。
第三十二番禅師峰寺。
県道195号沿い外港の正面、山の斜面に沿って建つ豪邸。
江戸時代末期創業の海運会社「長鋪汽船」。
コンテナ船2隻・バルカー船6隻・タンカー船3隻などを保有・管理する国際海上物流を支える老舗船社。
今年7月25日、同社の関連子会社が保有・管理し、商船三井が用船したバルクキャリアー(ばら積み貨物船)「WAKASHIO」が、インド洋南西部、マダガスカル東方沖のマスカレン諸島に位置する島国モーリシャス沖で座礁、燃油流出事故が発生。
同社ホームページにて、事故発生後から流出油の回収や船体の撤去、海没処理など、逐一詳細な情報が掲載されている。
岡山県の西の端に位置する港「神島外港」周辺。
浦を巡ってみると、特に何があるというわけではないけれど、何もないわけではないことに気づく。
日本全国津々浦々、初めて訪れた場所にもかかわらず、懐かしく感じるのはなぜ。
日常を観光してみると気付かなかった何かに気づく、かもね。