倉敷市児島の山中、二本足と四本足と八本足に護られているでっかい石。

 

 

八本足は蛸。

 

 

四本足は狐。

 

 

二本足は菅公。

 

 

その昔、磐座信仰を唱えて、近郊の人々の守護神として崇められていたとされる由加山由加神社本宮。

 

 

同宮は日本三大権現の一つで、厄除けの総本山として知られる二千有余年の歴史を持つ神仏混淆の古社。

 

 

現在は西日本を中心に全国に末社52社を有する。

 

初詣の参拝者は2日間で約30万人、最上稲荷に次ぐ県内第2位の人出。

 

 

鳥居は備前焼。

 

 

由加神社本宮のシンボルのひとつ、備前焼大鳥居は、1894(明治二七)年に寄進されたもの。

 

狛犬も備前焼。

 

 

備前焼の狛犬は1829(文政一二)年に寄進されたもの。

 

733(天平五)年、行基菩薩が十一面観音を祀ったことが創建と伝わる神社仏閣が一体となった瑜伽大権現(由加大権現)は、神仏習合の霊山として崇拝されてきた。

 


 

桓武天皇の御世以来、朝廷の祈願所として繁栄し、拝殿には菊花ご紋章を頂いている。

 

拝殿前には「厄」がばら撒かれた石橋が架かる。

 

 

「厄」を避けて渡るもよし。「厄」を踏みつぶしならが歩くもよし。

 

 

自由自在。


江戸時代中期には備前藩主池田侯の祈願所として当権現・由加大神様への信仰は篤く、正月・五月・九月には藩主自ら参拝。当社の社殿や、蓮台寺の客殿を造営した。

 

 

その時ご参拝した建物が由加神社本宮御本殿。

 

 

藩主池田斉政侯が、1817(文化一四)年9月に寄進した蝋石燈籠。

 

 

また、瑜伽大権現(瑜伽山蓮台寺)と讃岐国の金毘羅大権現(金光院松尾寺)を両方参拝すると多大なご利益に与れるといった『ゆがさん・こんぴらさん両参り』といわれる慣習が拡がった。

 

そのため、由加山南方の港町である田ノ口地区は、由加山の門前町の様相も呈していた。

 

明治時代になると神仏分離令により、由加神社と蓮台寺に分離。

 

 

第二次世界大戦後の国家神道解体により、形式的には分離したまま、僧職が本殿で祈祷を行う等事実上明治以前の形態に戻し、蓮台寺により一体的に運営されていた。

 

 

由加神社本宮社殿た磐座に隣接して、蓮台寺瑜伽大権現奥の院が建つ。

 

 

由加神社社殿を挟んだ反対側には、1843(天保一四)年に再建された県内最大規模の多宝塔がある。

 

 

下層塔身が方形、上層塔身が円形の二重の塔で、下層内部の四天柱には金箔が貼られ、上層外部には回り高欄が廻っている。

 

 

屋根の上に乗る相輪は、1828(文政一一)年に由加山にて鋳造されたもの。

 

 

1997年3月3日、経緯不明ながら、宗教法人としての独自活動を再始動。これ以降、蓮台寺と対立状態にある。

 

拝殿下には縁結びの神様が御鎮座。

 

 

並んで稲荷山のジオラマも御鎮座。

 

 

社殿に目が行きがちだが、当宮の始まりは向かって左手奥に鎮座する巨大な石。

 

 

蛸!!

 

 

そう、蛸。世にも珍しいタコ神様。

 

足元に蛸壺。

 

 

ヒラメと鯉。

 

 

このタコ神様は、地元名産のタコを海の神として祀り、魚供養と海上安全、豊漁祈願を行う為に、鷲羽山地区のホテルや旅館、漁業組合、飲食店などの有志により奉納されたもの。

 


児島半島は紀元前より海に囲まれ、その海の幸により多くのひと人が生活し、その恩恵を享受したきた。今では、児島、鷲羽山、下津井は、瀬戸内海でも有数の漁地として知られており、タコ・メバル・タイ・ヒラメなどは美味しいことで有名。特に下津井で捕れるタコは、全国に発送さ、食されている。歯応えがあり、噛めば噛むほど甘みが口いっぱいに広がる下津井の生ダコはこれからが旬。梅雨の水を飲んで大きくなる7月頃が旬で、9月には禁漁となる。

 

 

蛸の背後に狛狐、磐座の前に菅公が鎮座。

 

 

なぜ、倉敷児島に菅公が?

 

 

菅公が太宰府配流の途上、児島唐琴の浦に滞在、当地に思いを残して去った。菅公の死の直後、当地に光明が射し瑞雲が現れた。菅公の魂魄が当地に帰ったと信じられ、祀られたのがはじまりだとされる。

 

 

菅公と参拝者を繋ぐ結縁の綱。手にして鈴を鳴らせば、不思議な力を授かるという。

 

蛸に狐に菅公と多少のゴチャゴチャ感はあるが、巨大な石の存在感に圧倒される。

 

 

当宮の参道には多くの土産物店等が軒を連ね門前町を形成しており、初詣などの時期には多くの参拝者で賑わう。

 

 

なお、自動車で訪れる参拝者は、蓮台寺の駐車場から当宮へ回るため、平日の参道はほぼ貸切状態。

 

 

なお、この門前町で売られている「あんころ餅」は由加山の名物。

 

 

2000(平成一二)年9月1日より名物あんころ餅の製造直売を由加山表参道入口「太助茶屋」では

じめた。

 

 

◆概要

名称:由加神社 本宮

鎮座地:岡山県倉敷市児島由加2852

御祭神:彦狭知命、神直日神、大権現(本地仏:阿弥陀如来、薬師如来)、手置帆負命、天之御中主神、素盞鳴命、倉稲魂命、菅原道真公、大綿津見命

御神徳:厄除け、合格祈願・学業成就、縁結び、子授け、商売繁盛、海上安全、消痛

相殿神:

摂末社:

古蹟:

創建:(伝)733(天平五)年

祭礼日:春季大祭(4月第一日曜)、秋季大祭(11月3日)

ホームページ:倉敷由加山 厄除け総本山由加神社本宮

参考サイト:

駐車場:

●アクセス

自動車:瀬戸中央自動車道・水島インターより20分

鉄道・バス:JR西日本線・上の町駅下車徒歩55分