境港市出身の漫画家・水木しげるさんが亡くなる直前、最後の里帰りとなった際に訪れた場所のひとつが松江市八雲町の志多備神社のスダジイ。

 

 

天に向かって八方に広がるその姿は八岐大蛇。

 

日本の原風景が広がる松江市八雲町西岩坂、地区の中央を流れる桑並川の東岸、石組みの畔の向こう、赤や黄色に色づく森に鎮座する志多備神社。

 

 

御神木として崇められるスダジイの木は樹高約20メートル、周囲11メートルを超える規模で、1987(昭和六三)年に環境庁(現 環境省)が全国の巨木の調査を実施した際、日本一のシイノキだと認定されました。

 

 

村指定天然記念物

スダジイ(二本)

 このスダジイは、桑並地区を守る総荒神の宿る神木です。

 胸高周囲十一・四メートル、樹高約二十メートルで、樹幹は地上三メートルあたりで九本に分かれ(一本は枯れている)四方に枝葉を広げています。

 枝張りは、東西約二十メートル、南北約三十三メートルで、樹齢は確かでなく推定数百年といわれている日本一のシイの巨木です。

 志多備神社参道傍にあるスダジイは、胸高周囲六メートル、樹高十八メートル、枝張りは東西約十七メートル、南北約十九メートルです。

 神社の周囲一帯は、スダジイの森になっており、学術上でも貴重な存在として残っています。

八雲村教育委員会

 

以上、案内看板全文転載。

 

幹に巻きつけられた藁蛇は荒神に収穫感謝や五穀豊穣を願う神事で、主に出雲地方(島根県東部)や伯耆地方(鳥取県中西部)で多くみられます。藁蛇のことをクチナワさんといい、地区によって祭日や祭年が異なります。

 

 

荒神は渡来仏ではなく、日本仏教の信仰の中で独自の発展を遂げたものです。日本古来の荒魂に古代インドの夜叉神の姿が取り入れられ、神道、密教、山岳信仰など様々な要素が混交して三宝荒神が成立し、火や竈を司る神として信仰され、一般的にはかまど神として祭られることが多いようです。

 

また、西日本の山村や島嶼部などでは、樹木や大樹の下の塚を荒神と呼び、屋敷神・同族神・部落神などとして祀る地荒神と呼ばれるものもあります。

 

志多備神社で毎年11月9日に執り行われる桑並総荒神祭では、朝から地区のみなさんが集まり藁を綯って長さおよそ40メートルの巨大な蛇をつくり、神職が祝詞を奏上。

 

 

祝詞の奏上が終わるころになると、前夜の雨から続いていた曇り空がようやく晴れる。

 

 

夕方近くに豊作に感謝し安全を祈願してスダジイに巻きつけられます。

 

 

◆概要

名称:志多備神社

所在地:島根県松江市八雲町西岩坂1589

主祭神:伊弉諾尊、伊弉册尊

●アクセス

山陰自動車道・安来道路東出雲ICより島根県道53号大東東出雲線・国道432号・西岩坂農道経由で約8km・15分