岡山駅前を東に走る桃太郎大通りから西川用水を北に100メートル、青天を突く赤い「岡ビル」の文字。
1946(昭和二一)年9月、集まり「岡山マーケット」としてオープンした屋内型小売市場。翌年1月、開業当初の55店舗から135店舗が出店。同年12月、管理会社「株式会社岡ビル商場」を設立。
1951(昭和二六)年8月、商号を「株式会社岡ビル百貨店」に変更。 バザールとしての機能性と近代建築のモダン性を兼ね備えるよう設計された新店舗が同年9月竣工、10月開業。
岡山では戦後初めての本格的な鉄筋コンクリート造の建物は、4階建で1階が店舗、2階以上はここで働く人々の住居という職住一体型の商業施設で、山陽新聞が「住宅つきの大デパート」と報じる。
これにより市内のみならず郡部からも多くの人たちか買い物に訪れた同店は、表町商店街、駅前商店街とともに、戦後の商業復興を食の面から支えてきたといえる。 また、同業者が全国から視察に訪れるなど、画期的な施設として注目を集める。
現在、同ビルは岡山唯一の小売市場であり、近隣住民の台所として根強い人気があるが、全国大型店の進出やスーパーの郊外への展開に伴う中心市街地の空洞化が進み、取巻く環境は厳しさが増していることに加え、後継者や空き店舗など、地方の商店街共通の問題を抱えています。
また、建物が老朽化していることから、マンションを備えた複合商業施設の再開発が計画されています。
◆概要
名称:岡ビル
所在地:岡山市北区野田屋町1丁目3番3号
設計者:久米権九郎(久米建築事務所)
施工:大林組
構造:RC造
階数:地上4階
竣工:1951(昭和二六)年9月
敷地面積:2,808.00メートル
延床面積:6,412.76平方メートル
◆参考資料