近年、土庄-高松航路に就航している高速艇は、運航経費節減のため機材の小型化などの置き換えが進んでいます。2000年代初めの頃は、機材の大型化や新造船の投入、拡大競争が盛んに行われていました。
船名:スーパーマリン(二代目)
総トン数:160トン
旅客定員:152名
諸元:全長35.44m×型幅6.70m×深さ2.95m
航海速力:30.00ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:三保造船所
竣工:1996年6月20日
備考:2013年売船
三隻の同型船では、船齢が一番古いスーパーマリン(二代目)が一番お金が掛かっていそうな分、乗り心地がよかったような記憶があります。
船名:スーパーマリン1
総トン数:171トン
旅客定員:140名
諸元:全長36.03m×型幅6.70m×深さ2.96m
航海速力:30.00ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:讃岐造船鉄工所
竣工:2000年7月28日
備考:2008年12月引退、2010年売船
スーパーマリン2の就航時に、艫側の二窓を一つ埋めて一窓にしています。外観の区別を付ける為というような話を聞きましたが、その真偽は定かではありません。
2000年代の初め、池田-高松航路を運航する会社が、二隻の高速艇を就航させるという話しが持ち上がっており、実際に二隻の高速艇が建造されました。当時、高速艇航路を持っているのは土庄-高松航路を運航する会社のみでした。それに対抗して建造したのが、大型高速艇スーパーマリン2です。
船名:スーパーマリン2
総トン数:181トン
旅客定員:152名
諸元:全長36.71m×型幅6.79m×深さ2.88m
航海速力:29.00ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:瀬戸内クラフト
竣工:2003年1月6日
備考:2006年売船
個人的な感想ですが、スーパーマリン型の中で一番カッコイイと思うフォルムでした。しかし、船内の設備などは他の二隻と比較すると、1階のチェアーはリクライニング機能が省かれるなど簡素化され、掛け心地もダウン。また、細かい振動を感じるなど快適性を犠牲にして、大型化を図ったような印象でした。同船の就航間もなく、小豆島・草壁-高松航路に高速艇一隻が就航。燃料費の高騰や過当競争による採算性の悪化などから、就航3年ほどで引退し、海外に売却されました。
上の写真は、建造後ドックより回航され、四国フェリー本社前のポンツーンに係留されているものです。両舷に描かれている四国フェリーの頭文字「S」を図案化した水色のラインが太いかったのですが、就航までに直されました。
船名:しわく1
総トン数:70トン
旅客定員:161名
諸元:全長27.00m×型幅5.20m×深さ2.42m
最高速力:32.88ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:瀬戸内クラフト
竣工:1988年2月
備考:2003年引退、04年明淡高速船へリース、06年売却
当初は関西汽船から引き継いだ関西急行フェリー所属で、瀬戸大橋開通時に丸亀-与島-下津井航路に就航。同航路廃止に伴い、高松-小豆島・土庄航路に就航。両舷のラインは、関急カラーと呼ばれる濃い緑色。船名は、西備讃瀬戸に浮かぶ「塩飽諸島」から命名。
2001年、関西急行フェリーと四国フェリー子会社の小豆島高速と合併して、二代目小豆島急行フェリーが誕生。しわく1の両舷のラインは、スーパーマリンの赤と同じ色に変更されました。
しかし、極々短い期間、ブリッジ後ろのラインカラーは、関急カラーのままでした。
2003年1月のスーパーマリン2の就航による引退後、明石港と淡路島・岩屋港を結ぶ、関西汽船子会社の明淡高速船にリースされた際には、両舷のラインが水色に変更されました。合わせて、全面の窓を塞ぐ改造が実施されています。明淡高速船の会社清算に伴い、リース契約が終了し、売却されています。
船名:ひかり(三代目)
総トン数:38トン
旅客定員:98名
諸元:全長20.71m×型幅4.65m×深さ2.00m
航海速力:25.00ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:三保造船所
竣工:1994年9月
今治高速船の「第十二かもめ」として就航、1999年しまなみ海道部分開通に伴い航路廃止。三原観光汽船に売船後「第十二西日光」に改名。2008年小豆島急行フェリーに売船後三代目「ひかり」に改名。スーパーマリン1の引退に伴い、後継船として就航。2015年10月オリーブマリンの就航に伴い予備船化。
2016年1月より小豆島豊島フェリーに転籍し、小豆島・土庄-豊島・家浦-豊島・唐櫃-宇野航路に就航しています。
船名:しょうどしま丸(四代目)⇒第五しょうどしま丸(初代)
総トン数:999トン
旅客定員:490名
諸元:全長65.68m×型幅14.00m×深さ3.89m
航海速力:13.50ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:讃岐造船鉄工所
竣工:1994年1月
備考:2009年引退、海外売船
バブル経済末期の就航ということもあり、ブリッジ後方に豪華カラオケルームを完備。第二しょうどしま丸就航に伴い、小豆島・土庄-岡山航路に配転となりました。カラオケ機材は、第二しょうどしま丸の客室後方甲板に移設されました。
誰が使うのかと訝っていましたが、寒風吹き荒ぶ夜の航海中、大音量でやしきたかじんの「東京」を歌う人に一度だけ遭遇しました。
四国フェリーグループのフェリーの特徴といえば、白い船体に独特の赤いファンネル。ただし、あのファンネルはダミーで、1989年から92年にかけて建造された宇野航路の玉高丸、94年建造の本船の排気管は艫の左右下部に装備されていました。
猛烈な煙を噴出して出港する姿が印象的でした。1997年10月竣工の第八十一玉高丸(二代目)以降に建造された同社フェリーの排気管は、艫左右上部に装備されました。
それ以前に建造され就航中だった玉高丸は、順次改造が施されました。
船名:あずき丸
総トン数:693トン
旅客定員:492名
諸元:全長59.15m×型幅14.00m×深さ3.75m
航海速力:15.50ノット
主機関:ディーゼル×2
建造所:藤原造船所
竣工:1990年2月
備考:2001年10月引退⇒予備船、2015年4月売船
関西急行フェリーと船舶整備公団(現 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が所有。静かなエンジン音、少ない振動、上品な内装が関急のフェリーらしい印象だったと記憶しています。
2001年10月、第七しょうどしま丸の就航に伴い予備船になりました。それに先立つ同年8月、関西急行フェリーが四国フェリー子会社の小豆島高速と合併し、小豆島急行フェリーが発足。実質、四国フェリー所有となったため、関急カラーから四国フェリーカラーの特徴である白い船体、紺色の船底、朱色のファンネル塗り替えられました。
ファンネルマーク「オリーブの葉」は小豆島急行フェリーの社章なれど、四国カラーのあずき丸は違和感有り。