業火に包まれた牛車(ぎっしゃ)の車輪の真ん中に、恐ろしい男の顔が付いた姿の輪入道。


輪入道 2016.07.09

昔、京都の東洞院通(ひがしのとういんどおり)に現われたとされ、日暮れになるとゴウゴウと不気味な音を発しながら、下町から山の方へと恐ろしい勢いで駆け上ったいい、その姿を見た女の子供の足を引き千切って去ったといいます。


輪入道 2016.07.09

鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』の「晦」を見ると、輪入道の姿を見た者は魂を奪われるともされています。


輪入道 2016.07.09

東洞院通は平安京の東洞院大路に当たり、現在もJR京都駅の東側を北へ走り、大丸京都店の西側を通り、さらに北へと延び、京都御苑の南を東西に走る丸太町通まで続く通りとして現存します。


大丸京都店 2016.08.02

東洞院通 2016.08.02

東洞院通 2016.08.02

京都の繁華街の中心を走るため、夕暮れ時どころか、深夜に及んでも人の往来が絶えず、妖怪などが出没する雰囲気を感じることがありません。


東洞院通 2016.08.02

東洞院通 2016.08.02

大丸京都店の建つ場所には、約2000年前の弥生時代から人々の生活の場であったことが、埋蔵文化財発掘調査で判明しています。平安時代後期の初め、鳥羽天皇の臨時御所がありました。1148(久安四)年、近衛天皇が遷り里内裏とし、四條東洞院内裏となりました。内裏の大きさは、南は四條大路、北は錦小路、東は高倉小路、西は東洞院大路に画され、方一町(121m)四方を占めていました。江戸時代には有力大名の京屋敷となり、幕末の「蛤御門の変」で焼亡した後、1870(明治三)年に廃邸となっています。明治中期には、その跡地に米穀と株式の取引所が開設されています。1912(大正元)年10月1日、デパートメントストア形式の「京都大丸」が進出。鉄筋木造3階建インドサラセン式の奇抜な店舗が市民の目を驚かせました。


大丸西側の東洞院通は狭隘な一方通行に加え、往来が多いため、輪入道よりも自転車や自動車に注意が必要です。


東洞院通 2016.08.02

東洞院通 2016.08.02

東洞院通 2016.08.02

なお、一方通行が南行なのは、輪入道の北進を阻むための魔除けであるかどうか定かではありません。


輪入道 2013.08.22


『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する輪入道は「ダイヤモンド妖怪」とされ、口から吐き出す炭素光線で人間をダイヤモンドに変化させ主食にしています。


ばか者!! カ―――ッ!!


輪入道 2016.10.12

お前もダイヤモンドにしてやろうか?


輪入道 2016.10.12

水木しげるロードの輪入道は台座にしっかりと固定されているので、日暮れにゴウゴウと不気味な音をたてて走り回る気配はありません。


輪入道 2015.12.07

輪入道 2013.04.27

また、通行人を炭素光線でダイヤモンドに変化させることはありません。


・・・たぶんね。


◆参考資料

『決定版 日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様』 水木しげる 著 講談社 発行

『鬼太郎くんの仲間たち 妖怪「対比」図鑑』 水木しげる 監修 やのまん 発行

『日本妖怪大事典』 水木しげる 画 村上健司 編著 角川書店 発行

DVD『ゲゲゲの鬼太郎60’s』6巻 販売元 ポニーキャニオン

DVD『ゲゲゲの鬼太郎80’s』1巻 販売元 ポニーキャニオン


◆アクセス

阪急京都線烏丸駅下車20番出口すぐ