国道9号沿いに鳥居が立つすぐそば、旧東出雲町の松江まで10kmの地点に掲げられた地名「出雲郷」。
読み方は、力強く「いずもごう」。では、ありません。
「出雲郷」と書いて「あだかえ」と読みます。
郷内に阿太加夜神社(あだかやじんじゃ)が所在しており、その名が地名の起源だと伝わっています。
国道9号脇に立つ鳥居は二の鳥居です。
鳥居は国道9号の北を並行して走る旧出雲街道沿いにあります。
出雲街道から神社へと続く参道を国道が横切る構造。
主祭神は神話で有名な大国主命の御子、阿陀加夜奴志多岐比賣命(あだかやぬしたきひめのみこと)です。この神様は、阿太加夜(現在の出雲郷)の主として出雲の多伎町に祭られているほど広く出雲の地で活躍された出雲鎮守の女神です。
御神木のタブノキには、藁で編まれた荒神さんが見られます。
御神木の奥に見える船は、1639(寛永一〇)年、松江藩主の松平直政公が、不作を危惧し五穀豊穣を祈念するため、松江城内の城山にある稲荷神社の御神霊をわざわざここ阿太加夜神社に船渡御して、七日間にも及ぶ大祭を斎行したことを始まりとする、日本三大船神事のひとつホーランエンヤで使われるものです。
なお、同神事が行われるのは十年毎、あるいは十二年毎で、次回は2019年の予定。
配神には須佐之男命をはじめ国之底立命、淤母蛇流命、阿志古泥命の天神をまつり、末社は稲荷神社、雨風神社があります。また、今日まで三百五十余年続く式年神幸祭に因んだ松岡兵庫頭を祭った境内社があります。
神社の裏手を流れる須田川には河童伝説が伝わり、架かる橋の名前は河童橋。
須田川は国道9号の手前で意宇川と合流。
ホーランエンヤは、出雲郷橋の下流側より意宇川を下り、中海へ一旦出て、大橋川を遡上して松江城へと向かいます。
川向こうすぐには、道具街ではなく、東京靴松江本社と少し離れてヤマダ電機があります。
東出雲が本社なのに、東京靴とはこれいかに。
◆概要
名称:阿太加夜神社(あだかやじんじゃ)
所在地:松江市東出雲町出雲郷587
主祭神:阿陀加夜奴志多岐比賣命(あだかやぬしたきひめのみこと)
●アクセス
JR松江駅から国道9号経由で約7㎞・自動車で15分
松江道路東出雲ICより約1km・自動車で3分
◆参考文献
『山陰の神々 古社を訪ねて』 山陰の神々刊行会 発行