若桜町と八頭町の境にある遠見山から北東にのびる尾根の先端南東斜面に位置する若桜神社は、元は三倉集落の八兵衛谷に鎮座していました。古くは松神大明神と呼ばれ、竹内宿禰が下向の際に参拝したという伝承があります。
創立年は不詳ですが、在地領主の矢部氏による1200(正治二)年の若桜鬼ヶ城築城以降、現在地に移築されました。
神社の宝物帳には、後醍醐帝の短冊、名和長年の鉾、平盛継の甲冑など、多くの寄進物があったと記されていると云われています。しかし、1581(天正九)年の羽柴秀吉の因幡攻めの際に兵火にかかり、社殿やそれら古器物は焼失しましたが、その後、鬼ヶ城主木下重堅、山崎親子により社殿が再建されています。
鬼ヶ城廃城以後は、鳥取藩主池田家の庇護を受けました。
祭神は国常立ノ命で、他に天照大御神、ホンダワケ尊、素佐乃男尊、天御降産尊、保食神、倉稲魂神、菅原道真命、大己貴命、豊受神、水波能売命(ミズハノメ)、大山積神(オオヤマズミノカミ)、迦具土神(カグツチノカミ)、伊邪那美命(イザナミノミコト)を合祀しています。加えて1601(慶長六)年、赤松村から熊野権現、三倉村から八幡山を合祀したと伝わります。
約1.46haにも及ぶ社叢は、シラカシを中心にヒノキやモミの大木が混在する極相林の森林として、昭和57年4月に鳥取県より天然記念物の指定を受けています。
◆概要
名称:若桜神社
所在地:鳥取県八頭郡若桜町若桜634
アクセス:若桜鉄道若桜駅から約1km、車5分、徒歩15分
◆参考文献
「若桜」 鳥取県若桜町産業観光課他 発行
「ぶらりとっとり文化財めぐり Vol.4【岩美郡・八頭郡編】」 鳥取県教育委員会 発行
「城下町・宿場町若桜「温故知新」の歴史散歩」 若桜町観光協会 発行
『若桜町の文化財』 若桜町教育委員会 発行