一般的には「子育て幽霊」、あるいは「飴買い幽霊」などといわれるお話し。

 

毎晩、店じまいした飴屋の戸を叩き、一文銭を差し出して飴を買う女が居た。ある晩、不審に思った主人が女を尾行してみたが墓場で見失った。女が消えた辺りにある真新しい墓の中から赤ん坊の泣き声が聞こえる。墓を掘り返してみると、女の遺骸が生まれて間もない赤児を抱えていた。子を宿したまま死んだ女は葬られたが、土中の棺桶の中で赤児は生まれたのだ。そこで女は幽霊となって、三途の川の渡し賃で六日の間、飴を買って我が子を育てていた。不憫に思った飴屋の主人が子供を引き取って育てた。その子供は後に高僧になったという。

 

大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29

 

似たような話が日本各地で聞かれ、松江では藩主が舟で大溝を通ってお参りしたという大雄寺に伝わっています。なお、マンガ「ゲゲゲの鬼太郎」(紙芝居『ハカバキタロー(墓場奇太郎)』原作:伊藤正美、作画:辰巳恵洋)は、この話をモチーフにして生まれたとされます。

 

大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29
大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29
大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29
大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29

 

山門前の看板に“小泉八雲は大雄寺の怪談「飴を買う女」で「母の愛は死よりも強し」とこの話の終りを結んでいる。幼くして母ローザと生き別れた自分の境遇への思いから出た言葉だろう。”とあります。

 

件の墓場は、山門を潜った先、本堂に向かって左。

 

大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29
大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29
大雄寺「飴を買う女」 2015.07.29

 

周辺は高層マンションや小洒落た賃貸アパート、一般住宅が密集する閑静な住宅地。スグ近くには古くからの商家が軒を連ねる歴史ある商店街。家の裏が墓という好物件。個人的に住んでみたいまちですが、この中原町は松江屈指の高級住宅地で、とてもじゃないが、高くて住めません。