かつて松江の京橋周辺には、5つの銀行があり金融街を形成していて、松江のウォール街といわれていました。そのうち3つの建物が現存しており、京店商店街の中に残っているのが旧第三国立銀行松江支店です。
鬼瓦に社章の「三」が見られます。
第三銀行は当初、渋沢栄一の第一銀行設立に触発され、大阪にも設立しようとする機運が高まります。徳島県人数名が鴻池善右衛門や広岡久右衛門ら豪商を勧誘して、1873(明治六)年4月に出願し、国の認可を受けました。しかしながら、発起人の仲間割れで開業には至りませんでした。その後、1876(明治九)年に同行の免許を譲受し、東京で設立されました。1923(大正一二)年に保善銀行に吸収され安田銀行に改称しました。その後も合併などを繰り返し富士銀行を経て、現在はみずほ銀行です。
なお、大阪で設立に加わった九代目広岡久右衛門の兄は玉木宏。ではなく信五郎。広岡浅子の夫です。
現在は呉服店として利用されています。
なお、鳥取県倉吉市にも同様の旧支店の建物が残っています。
◆概要
名称:旧第三銀行松江支店(現かげやま呉服店)
所在地:松江市末次本町6
竣工:1902(明治三五)年
構造:土蔵造
階数:地上2階