1977年(昭和五二)年に公開された映画「八つ墓村」。冒頭「神庭の滝」を越え、たどりついた尼子義孝ら八人の落武者たちが峠から見た景色。
当時、映画のロケで一躍有名になった山あいののどかな村に多くの人たちが押し寄せたそうです。空き缶などのゴミはポイ捨て、田畑は踏み荒らされ、まさに「祟りじゃ~!!」という惨劇だったと伝わります。
安来市広瀬の月山富田城から落ち延びてきた八人の武者たちが見た光景。右前方にうっすらと見える大山の影。その矛盾に気づくのは地元の人たちだけでしょう。
晴れた日ははっきりとその姿を望むことができます。
そして落ち武者たちの背後は、山口県の秋吉台のカルスト台地。まさに映画のマジックです。
周辺は八つ墓村の陰惨な空気感は微塵も感じられない、日本の原風景が広がるのどかな里山。
のどかにに見える里山ですが、実際に様々な尼子の落武者まつわる伝説が残っている土地でもあります。
終わることがないかと思われた八つ墓村の惨劇の連鎖は、金田一耕介の推理により結末を迎えます。真犯人、そして事件の奥深くに秘められた400年に渡る不思議な因縁が明らかになります。
映画「八つ墓村」のクライマックスは、尼子の落武者たちの怨念が放ったかのような紅蓮の炎に包まれた多治見家の屋敷。炎上シーンは、地元の人の畑を借りてオープンセットが建てられ、大掛かりな火事の場面の撮影が行われました。