境港の西端、中海に面した渡町(旧 渡村)のまちなみは、入り組んだ路地と古い家屋敷などが歴史を感じさせます。
その中でもひと際目を引く豪邸が、渡町の中心部にある庄司家(本庄司家)です。
あまりにも広大なお屋敷のため、全景を写真に収めることは不可能です。
瓦葺の大庄屋
庄司家は境港市渡町の中心部に位置しており、安政4年(1857年)藩の家禄改めには、会見郡内大地主の筆頭い位置し、慶応2年(1866年)名字帯刀を許され大庄屋待遇を与えられた当地きっての名家である。
主屋は天保3年(1832年)の大火で類焼したが、翌年再建された。建築様式は入母屋造瓦葺で、平面構成は前、中、奥に3分された九間取で整然と構成されており、後年向座敷の一部が改造された形跡があるが、その他は再建当時の様式をそのまま伝えている。
同家には元治元年(1864年)鳥取藩主の巡視にあたり休憩所を命じられ、立てられた茶座敷がある。茶座敷は、主家の東に前庭を挟み、渡廊下を通じて南北に建てられており茶室、湯殿、雪隠を1棟に構成している例のない建物になっている。庭園は、回遊式庭園としての特徴があり、出雲式庭園の様相を持つ名園である。
※建物、庭園は一般非公開です。
所在地 境港市渡2228
建設年 江戸後期
構 造 木造
以上、『とっとり建築探訪 県民の建物百選』より転載
◇参考文献
『とっとり建築探訪 県民の建物百選』 社団法人鳥取県建築士会 発行
奥出雲の鉄山師田部家や米子の財閥坂口家などとも縁がある境の名家中の名家です。また、境港出身の女優、司葉子さんは庄司家の分家筋の一統にあたります。
セコムに堅く守られた長く続く高い塀の向こうの様子を窺い知ることはできません。
同住宅前の広場には、江戸末期-明治初期に活躍した儒学者・医師の松本古堂、終焉の地という石碑があります。
現在は広大な空き地になっていますが、ここにも豪邸が建っていたのでしょうか?
境港文化財巡礼02
庄司家住宅
(1)庄司家庭園 県指定文化財(記念物)名勝
(2)庄司家母屋・茶座敷 市指定文化財 有形文化財(建造物)
JR境線・「余子駅」下車徒歩30分
はまるーぷバス・生活コース「渡五区入口」下車スグ