都城大丸の経営破たんよりまもなく4年。


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・本館 2009.02.07


破たんの約2年前、鹿児島旅行のついでに訪れました。ついでというより、ほぼ1日かけてわざわざ訪れたといった方がよいかもしれません。なんせこのために、1日滞在を延ばしましたから。でも、今考えると、訪れておいてよかったと思います。


四角四面の正面ファサードに比べると、でこぼこした裏面がたのしい♪


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・本館 2009.02.07


一番上の写真で見ると、前後で建物の形状が明らかにちがいます。このことから、大規模な増築が成されているのことが推測できます、実に興味深い。


本館に隣接して、運営会社の大浦本社があります。


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸本館・本社 2009.02.07


こちら側の方が人通りが多く、メイン玄関のような雰囲気です。


都城大丸の最寄駅、JR西都城駅は、特急が停車する高架駅。2階ホームからは、都城市内が一望できます。


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城市中心市街地 2009.02.07


ご覧のように、都城大丸のピンク色の塔屋看板も確認できます。かつては、あのあたりが街の中心だったのでしょう。


都城大丸が店を構える中心市街地。


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城市中心市街地 2009.02.07


街の中心部の中央を貫通する国道10号は、中央通りという愛称で呼ばれています。


都城市は、宮崎市の西南西約50km、鹿児島市から東北東約90km、宮崎県の南西端に位置し、宮崎市に次ぐ県内第2位人口を擁する主要都市のひとつです。

距離的には宮崎に近く、行政区域も宮崎であるが、生活意識としては島津藩の領地であったことから鹿児島の影響が強いとみられています。


なお、都城大丸は地元資本の大浦株式会社が運営していた百貨店の屋号です。


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・商号 2009.02.07
山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・本館 2009.02.07


なお、社章やロゴタイプでご確認いただけるとお分かり頂けると思いますが、大丸松坂屋百貨店(旧大丸)とは、資本ならびに業務などについて一切関係ありません。


都城大丸は、戦前の大浦呉服店を母体として、1956(昭和三一)年に市中心部の中央通り(国道10号)沿いに開店。長らく市内唯一の百貨店として、市中心市街地を支えていました。

1970年代に入ると地元資本や県外資本が次々と進出し、一部入れ代わりはあるものの、20年以上それら5店が鎬を削ってきました。


バブル経済崩壊以降の90年代には、撤退や業転、倒産などにより、市内には都城大丸ダイエー都城店の2店が残るのみとなりました。

2000(平成一二)年前後からは、駅前のダイエーと中央通りの綱引きに加え、整備された幹線道路沿いのロードサイド店やCVSなどの攻勢により、中心商店街は地盤沈下が加速。行政と商工会議所により、活性化の決め手として再開発が計画され、再開発を決定。予定地は都城大丸の駐車場を含むエリアで、約4万平米規模の再開発ビルを建設。

都城大丸はキーテナントとして、約1万8千平米規模で移転。文化ホールと1千平米規模の物販施設、1,000台規模の駐車場を併設するという予定でした。しかし、高層店舗ビル計画は紆余曲折を経て頓挫。

行政は土地区画整理事業の換地に、ウェルネスパーキング(2003年2月竣工)と集会施設・都城市ウエルネス交流プラザ(2004年3月竣工)を建設。

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-ウェルネス交流プラザ 2009.02.07


また、国も市内に点在していた施設を一ヶ所に集約し、中央通り沿いに都城合同庁舎を建設しました。

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城合同庁舎 2009.02.07


一方、2003(平成一五)年にイオン都城ショッピングセンターがオープンし、ダイエーイオンモール都城駅前に転換。

都城大丸は本館裏に2層構造のモール型商業施設大丸センターモールを建設し、2004(平成一六)年3月6日オープン。また、隣接地に立体駐車場を整備。イオン都城SCとの競合を意識したMDを意識し、本館では対応が不十分だったティーンズから三〇代のニューファミリーを対象にした専門店を集積。

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・センターモール 2009.02.07
山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・センターモール 2009.02.07


本館とセンターモールは歩道橋で2階部分が接続されていました。


山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・センターモール 2009.02.07
山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・本館 2009.02.07
山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・本館 2009.02.07
山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-都城大丸・センターモール 2009.02.07


増床直後は、入店客数及びレジ客数は伸びたが購買単価は低く、予想したほど売上には至りませんでした。


鳥インフルエンザや口蹄疫の発生と拡散、新燃岳の噴火などによる県内経済への深刻な影響など内外の要因により10年2月期の売上は46億円と、ピーク時の6割にまで低迷。2010年9月20日にセンターモールを閉鎖し、本館に経営資源の集約を図り再起を試みましたが、2011年1月3日、同店の運営会社大浦株式会社は、宮崎地方裁判所に民事再生法の適用を申請して事実上倒産、負債は45億8975万円でした。その年末12月28日に民事再生手続きを廃止、翌2012年2月10日に破産手続きの決定を受けました。

跡地利用は紆余曲折を辿り、本館建物などを解体し新設する建物にはバスターミナルとスーパー、さらには市立図書館を移転。6階建て賃貸マンションの2階には、市役所の健康センターと子育て支援センターを移転させる。また、多目的広場にはドーム状の屋根を設け、天候に関わらずイベントが開催できるようにする計画です。市民3000人を対象にしたアンケートで教育、文化施設を望む声が多かったからとしています。跡地整備を手掛ける会社では、交流人口が増え、街の活性化につながるとしている。なお、この跡地整備の事業費は4~50億円を見込み、国の助成も見込んでいるとしています。

◇店舗概要

都城大丸

宮崎県都城市中町14街区15号

売場面積=本館14,615平方メートル・センターモール6,700平方メートル

年商=4,600百万円(2010年度)


参考文献

「月刊ストアーズレポート 2005年5月号」 ストアーズ社 発行

「月刊ストアーズレポート 2011年6月号」 ストアーズ社 発行