境水道の向こう、島根半島のことを水木大先生は著書の中で、「ぼくは漠然と「鳥取」と「島根」は違うと感じていた地理的に近くても雰囲気がまるっきり違うのだ鳥取の人間はなんとなく忙しい感じだが島根の人は古代の神々を背後につけている感じで動作や話し方もおっとりしているぼくはベビィの頃から島根県人というと凡て(すべて)神につかえる人だと思っていた」と仰られています。
なぜ??
「あるとき、のんのんばあに連れられて島根半島のウラ側にある「加賀の潜戸」という場所に行った」という件がなぜか気になり、心に残っていました。
その死者の国の入り口加賀の潜戸は境港から30Kmほどの場所にありますので、車で目指せば4~50分の距離、天気がよく風が弱い日を選んで行ってきました。
件の潜戸は遊覧船で行くことができ、その拠点が「マリンプラザしまね」です。
潜戸観光遊覧船の発着場としてだけではなく、地元の新鮮な食材を使った料理が食べられるお食事処などが入居しています。
観光遊覧船の運航は4月から10月、あさ10時20分から16時20分まで、毎時20分の出航、約50分かけてふたつの潜戸を廻ります。グラスボートになっていますので海中を鑑賞することもでます。料金はおとな1,200円、こども600円、天候や海上の状況により(強風や時化)運航できない場合がありますので、事前に電話確認(0852‐85‐9111)をしてから行くことをおすすめします。
船長さんとガイド男性が一緒に乗っていざ出航!!
まずは、ひとつめの「旧潜戸(仏潜戸)」をめざします。マリンブルーの海とブルースカイブルー!!の青空、ゴツゴツした岸壁にぽっかり口を開けた潜戸の対照的な情景。
これが死者の国へつながる入り口だ!!(BGMは「Uボートのテーマ」)
遠くからでも無数の石積みが見えます。
潜戸横の船着き場に接岸し、遊歩道、トンネルを抜けて潜戸の中へ・・・
日本海の波が押し寄せる賽の河原。
朝日の昇らない内に、賽の河原へ行ってみると、浜には、夜の間に来て、石を積んだといわれる、子供の霊の足跡がある。しかも片足のみ点々と土のやわらかい所についているのが見え、朝日が昇るといつしか消えていた。
また、石の塔は時化で全部崩れても一晩中かかって泣きながら積みなおすなどの伝説、伝承が数多く伝わっています。
そんなことがあるわけがないと、石積みを全部崩した男のところは、夜中じゅう子供の走る足音を聞くことになり、乗った船は俄かに大時化となった海で沈んだという。一命をとりとめた男は、祟りを予感し潜戸へ行ってみると、崩した石積みが元どおりになっていた。恐れ慄き、己の咎を悔いた男は地蔵を建立したという話も伝わっています。
荒涼とした景色に何とも言えない虚無感が広がります。
でも、恐ろしさというよりも底知れぬ無常感が湧き上がってきます。別名「仏潜戸(ほとけのくけど)」といわれる所以が少し分かったような気がします。