智頭を訪れたらここに行けば間違いない!!という場所をご紹介します。

 智頭は鳥取市から約30km徒歩一日行程にあって、国道373号線(上方街道)から国道53号線(備前街道)が分岐する要衝の地である。古くは『日本後記』(808年)に「智頭郡道俣の駅」と記載され、江戸時代は参勤交代の藩主宿泊地として本陣が設けられ、商人や旅人の宿場として、また林産物の集散地として栄えてきた。
 近代になって、その豊かな林産資源を背景に林産経済活動が益々活発になり、「杉の町智頭」として県内外にその名が知られている。智頭のまちなみは、江戸時代に宿場として栄えた智頭宿の上に、明治以降の豊かな経済活動が営まれた足跡を刻み、今に至っている。
 石谷家(塩屋)は智頭宿の中央部に位置し、江戸時代は大庄屋や、宿場問屋をつとめた家柄である。現在の家屋は大正前後に建築されたもので、智頭杉をふんだんに用いた、「樹精の宿り」として高く評価されており、国の登録有形文化財になっている(※2006年当時)。
(『とっとり建築探訪 県民の建物百選』より抜粋して転載)

石谷家は、広く地主・山林経営をしてきた家で、古くから屋号を塩屋といい、元禄の初め(1691年)ごろに鳥取城下から智頭に移り住みました。1772(明和九)年は農民側の在役人大庄屋に任命された1822(文政五)年以降は、大庄屋を分家や国米家に譲り、もっぱら地主経営や宿場問屋を営んだ。
明治に入ると、当主の伝九郎は商業資本家として躍進し、地場産業の振興を図りながら地域経済を支え、救済事業・学校建設・道路改修などの篤志家として、町の進展に尽くした。明治三〇年代には伝四郎が山林経営と農民金融を発展させ、政治家としても勇躍、衆議院議員や貴族院議員に選出された。1923(大正一二)年の「因美線」の開通では資材を投じて完成に導いたが、この年に死去した。自宅(石谷家住宅)改築が進む中でのことであった。
「石谷家住宅」リーフレットより抜粋して転載)

智頭宿の中央に主として構える豪邸

石谷家住宅

 

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


1919(大正八)年から約10年かけて改築される以前は、主屋が往来に面した町屋造りであったと伝わっていますが、改築により主家は奥の方に建替えられ、江戸時代から存在した古屋敷や蔵を廊下で接続し、塀で大きく取り囲む武家屋敷風の構えとなりました。

伝統的な豪農造りの土間は高さ14mの吹き抜けになっており、見上げると松の巨木を用いた梁組に圧倒されます。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


土間を一段上がると囲炉裏の間。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


明り取りの窓などが備えられていますが、このうす暗さが独特の雰囲気を醸し出しています。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


奥にズズズイ――――っと進むと、1941(昭和一六)~1943(昭和一八)年に改築された新建(しんだて)座敷

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


江戸時代からの池泉観賞式庭園の眺めがワンダホー!!

天井材には奈良の春日杉、床柱は屋久杉の笹杢、床壁は和紙の袋張りが施された書院造です。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


見上げると、六角形の照明器具。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


改築時から今日まで変わらず使用されているものだということです。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


柔らかい灯りがココロ和みますね。

廊下の照明器具も時代を感じさせるデザインです。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10

さらに奥へと進みますれば・・・


お――――――!!

部屋全体が煤で塗られたVIPルーム江戸座敷です。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10 山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


窓の障子に施された細工により、美しい陰影が目を楽しませてくれます。違い棚の海老束は必見!!

そしてここから眺める庭園は、時間が経つのを忘れさせるほどの美しさです。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


敷地3,000坪、部屋数40余りと7棟の土蔵を有するこの大邸宅は、諏訪神社と杉山を背景としています。約400坪の庭園は、2008(平成二〇)年3月、国登録景勝地石谷氏庭園」に指定され、翌2009(平成二一)年12月には「石谷家住宅」が国の重要文化財に指定されました。

2階には造り付けの拝殿が設けられた神殿室があり、ここで結婚式を挙げることもできるということです。

そして使用人室事務室)の欄間に見られる隠岐の島影

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


そして霊峰大山を拝むことができます。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


この角度から見たものではないかと推測いたします。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-大山 2012.02.20


欄間に見る大山は、もう少し左にすそ野が広がっていますね。

窓からは式台と呼ばれる本玄関が見えます。

 

 

 

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-石谷家住宅 2013.06.10


江戸時代、鳥取藩主の参勤交代の時、藩主・池田公は本陣に宿泊され、随行の上級武士は当時在役人であった石谷家に宿泊しました。その名残として家格を表すために、武家風の式台がつくられたということです。

山林経営で財を成した智頭の豪族石谷家の住宅は、地元材の智頭杉はもちろん、全国から銘木を取り寄せ建てられた樹魂の邸宅という自然と文化の産物です。

 

◇概要

石谷家住宅

八頭郡智頭町智頭396番地

TEL0858-75-3500/FAX0858-75-3533

HP http://www.ifs.or.jp/

開館時間10:00~17:00

定休日 水曜(祝日の場合翌日休業)・年末年始(12/28~1/2)

入場料 大人500(400)円・高校生400(300)円・小・中学生300(200)円※カッコ内は15名以上の団体料金、幼児・障がいのある方、高齢者(80歳以上)無料(※要証明)