またまた、いきなり閉店時刻に流れる曲のお話です。

 

三夜目は、百貨店としては単店舗で世界一の売り上げを誇る「世界最高のファッションミュージアム伊勢丹新宿店です。

 

 

 

1989年10月より使用され続けている閉店用のオリジナル曲「Back to the Valley(バック・トゥ・ザ・バレー)~街が暮れる時~」です。
 

ヴァイオリン(当初はエレクトーン)とサックスが交互に同じラインを奏でる伊勢丹フリークなら耳にした覚えがあるであろう哀愁漂う曲。閉店約3分前から流れはじめ、閉店時刻に響く鐘の音、その後約10分ほど流れます。

 

 

伊勢丹各店のほか、JR西日本との合弁会社が運営するジェイアール京都伊勢丹ジェイアール大阪三越伊勢丹、また九州・博多の岩田屋でも流されています(※北海道札幌市の丸井今井は未確認)。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-ジェイアール京都伊勢丹 2005.08.07
 

ジェイアール大阪三越伊勢丹は、開業時よりヴァイオリン×アルトサックスヴァージョンでした。他店もしばらくしてエレクトーン×アルトサックスヴァージョンからそれへの変更が実施されたようです。

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-ジェイアール大阪三越伊勢丹 2011.12.14

 

作曲者の平部やよい女史は「旅先で出会った街、パリ、ローマ、エルサレム、モスクワ、ニューヨーク。それぞれが暮れていく時を思い出しながら、書いたもの。」と、この曲について語っています。


この曲が店内で流れはじめてから、曲に関する問い合わせが殺到したそうです。他のサイン音楽なども収録したCDが1,000名にプレゼントされる企画があり、その応募総数なんと30,000通!!

そのCDがコレです音譜
 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-伊勢丹の環境音楽 2013.04.23 山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-伊勢丹の環境音楽 2013.04.23

収録曲は全6曲
M‐1 Opening Chime
M‐2 Come from the Earth ~AI GA MEZAMERU HI~
M‐3 Funiculi‐Funucula
M‐4 Chiccy Chiccy Bang Bang
M‐5 Lullaby of Bongili
M-6 Back to the Valley ~MACHI GA KURERU TOKI~


M‐1M‐2の曲は、開店時に流されていた音楽です。過日3月6日のリモデルオープンを機に、坂本龍一氏が書きおろした「ミュージック フォー ファッションミュージアム(Music for Fashion Museum)」が流されるようになりました。

M‐3の「フニクリフニクラ」やM‐4の「チキチキバンバン」は、いわゆるサイン音楽で、前者は聴いた覚えがないのですが(忘れているだけかもしれない)、後者は夕方のある時間になると複数回流れます。

M‐5の「ララバイ・オブ・ボンギリ」は、熊本民謡「五木の子守唄」をジャズ風にアレンジしたもので、1988年秋に流されたTV‐CMで使用された曲です。

そしてM‐6が閉店時刻に流される曲です。なお収録曲は、ヴァイオリン×アルトサックスヴァージョンです。

付属の解説書によると、店内音楽のコンセプトは「音の環境デザイン」だということです。

さすがは『毎日が、あたらしい。ファッションの伊勢丹』、MDや接客などに留まらず、店内環境の隅々にまでもこだわる徹底ぶり。

1989年というと、今から24年近く前に作られた曲になりますが、毎日流されている曲だからこそ、飽きさせないといいますか、新鮮さを失わず古さをまったく感じさせないばかりか、環境の一部に溶け込んでしまっているように感じます。