またまた、いきなり閉店時刻に流れる曲のお話です。
三夜目は、百貨店としては単店舗で世界一の売り上げを誇る「世界最高のファッションミュージアム」伊勢丹新宿店です。
1989年10月より使用され続けている閉店用のオリジナル曲「Back to the Valley(バック・トゥ・ザ・バレー)~街が暮れる時~」です。
ヴァイオリン(当初はエレクトーン)とサックスが交互に同じラインを奏でる伊勢丹フリークなら耳にした覚えがあるであろう哀愁漂う曲。閉店約3分前から流れはじめ、閉店時刻に響く鐘の音、その後約10分ほど流れます。
伊勢丹各店のほか、JR西日本との合弁会社が運営するジェイアール京都伊勢丹やジェイアール大阪三越伊勢丹、また九州・博多の岩田屋でも流されています(※北海道札幌市の丸井今井は未確認)。
ジェイアール大阪三越伊勢丹は、開業時よりヴァイオリン×アルトサックスヴァージョンでした。他店もしばらくしてエレクトーン×アルトサックスヴァージョンからそれへの変更が実施されたようです。
作曲者の平部やよい女史は「旅先で出会った街、パリ、ローマ、エルサレム、モスクワ、ニューヨーク。それぞれが暮れていく時を思い出しながら、書いたもの。」と、この曲について語っています。
この曲が店内で流れはじめてから、曲に関する問い合わせが殺到したそうです。他のサイン音楽なども収録したCDが1,000名にプレゼントされる企画があり、その応募総数なんと30,000通
そのCDがコレです
収録曲は全6曲
M‐1 Opening Chime
M‐2 Come from the Earth ~AI GA MEZAMERU HI~
M‐3 Funiculi‐Funucula
M‐4 Chiccy Chiccy Bang Bang
M‐5 Lullaby of Bongili
M-6 Back to the Valley ~MACHI GA KURERU TOKI~
M‐1、M‐2の曲は、開店時に流されていた音楽です。過日3月6日のリモデルオープンを機に、坂本龍一氏が書きおろした「ミュージック フォー ファッションミュージアム(Music for Fashion Museum)」が流されるようになりました。
M‐3の「フニクリフニクラ」やM‐4の「チキチキバンバン」は、いわゆるサイン音楽で、前者は聴いた覚えがないのですが(忘れているだけかもしれない)、後者は夕方のある時間になると複数回流れます。
M‐5の「ララバイ・オブ・ボンギリ」は、熊本民謡「五木の子守唄」をジャズ風にアレンジしたもので、1988年秋に流されたTV‐CMで使用された曲です。
そしてM‐6が閉店時刻に流される曲です。なお収録曲は、ヴァイオリン×アルトサックスヴァージョンです。
付属の解説書によると、店内音楽のコンセプトは「音の環境デザイン」だということです。
さすがは『毎日が、あたらしい。ファッションの伊勢丹』、MDや接客などに留まらず、店内環境の隅々にまでもこだわる徹底ぶり。
1989年というと、今から24年近く前に作られた曲になりますが、毎日流されている曲だからこそ、飽きさせないといいますか、新鮮さを失わず古さをまったく感じさせないばかりか、環境の一部に溶け込んでしまっているように感じます。