1977(昭和五二)年の開店以来、35年間に渡って食品をメインとした地域密着型の小型百貨店大丸新長田店が本日2013年1月31日20時を以て閉店します。

 

 

 

 

山陰百貨店―山陰ぐらし☆右往左往―-大丸新長田店 2005.07.16

 

 

※2005年7月16日撮影


18年前の1995(平成七)年1月17日早朝に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)は、神戸市内に甚大な被害を及ぼし、特に長田区は壊滅的な打撃を受けました。同区内では震災直後に発生した火災による類焼でおよそ52万平方メートルが焼失、2万棟以上の建物が全半壊し、921人の尊い命が失われました。同店の入居するビルは倒壊を免れたものの、電源は喪失し暗闇の店内には商品が散乱、早期の営業再開は絶望的な状況でした。しかし、被災し自宅を失った市民が街にあふれ出し、周辺商店も壊滅的な状態に営業再開を決定、困難を乗り越え震災の2日後に正面玄関前での食料品や衣料品の販売に漕ぎつけました。こういう困難な状況下において、商売人の魂が街のインフラとしての役割を果たす使命感に火を点けたのでしょう。いや、そのような薄っぺらい言葉では表せないぐらいの思いが突き動かしたのでしょう。

 

 

「店が空いている」「商品を販売している」という、普段なら当たり前のことが、どれほど被災者たちの希望の光となったことでしょう。


同店は震災後の平成七年度に開店以来の最高額約130億円の売上を記録しました。しかし、人口の減少や近隣に大型スーパーなどの進出があり、この年をピークに売上は減少の一途を辿り、平成二三年度には半分以下の50億円にまで売上が落ち込みました。今後も回復の目処が立たないことなどから、大丸松坂屋百貨店を運営するJ.フロントリテイリングは、昨年6月に閉店を決定していました。震災後、いち早く営業を再開し、被災者たちの希望の光ともなった大丸新長田店は、本日20時、静かに閉店してゆきます。

 

 


◇データー

 

大丸新長田店

神戸市長田区若松町5-5-1

TEL078-643-2951

売場=B1F~2F

売場面積=

年商=

※営業時間(1/23~31)=9時→20時